決まりましたね、東京五輪。これはとってもエキサイティングなニュースだと思います。

これは、素直に喜んで良いと思うし、月曜からのマーケットは、買いでOKだと思います。

ところで、リオデジャネイロ五輪が決定した後の、ブラジルの株式市場がどう動いたかの軌跡を辿る事は、意味がある事だと思います。

下のチャートが全てを物語っています。

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五輪決定直後は相場が良かったのですが、あとはじり貧で、今日に至っています。言い換えれば、北京オリンピックの前にあったような、オリンピック相場は、いまのところ到来していないのです。

この原因はブラジルの政治に求める事が出来ると思います。

ブラジルは、五輪決定の後、海外から短期の値幅取りを狙う投資資金が殺到しました。それを撃退するため、証券取引に対する課税などを行いました。

また外国からチヤホヤされ、簡単に投資資金が集まることから「もう外国人は、要らない。国内優先で行く!」と宣言しました。そしてエネルギーやインフラ部門から、どんどん外国企業を締め出し、国内企業を優先する、あからさまな排外政策を打ち出しました。これは1960~70年代に逆戻りする復古調の政策です。これに驚いた外国の多国籍企業は、どんどんブラジルから逃げ出しました。

投資家もどんよりと停滞し、経営改革や政治改革が無いブラジルに愛想を尽かして、最近では、ひと頃、肩で風切って歩いていたブラジルの大富豪が、借金を払えなくて有名ホテルやその他のめぼしい物件を底値で処分して、何とか食いつなぐ状況になっています。

さて、日本がブラジルの二の轍を踏まないようにするには、どうすれば良いのでしょうか?

それはひとことで言えば、ブラジルの逆をやれば良いということです。

つまりこれを機会に規制緩和をガンガンやり、手つかずの税制改革をどんどんやり経営や政治のスピード感を上げるということです。

例えば日本の基礎的財政収支ですが、これは世界的に見ても、ありえないくらい醜悪です。

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日本の税金が高いか、安いか、僕は1980年このかた殆ど外国暮らしなので、生活感はわかりません。でも、少なくとも統計上は、日本の税金は高くない。いや、日本の税収力はOECD平均よりかなり落ちます。

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それでは何処で差がついているかといえば、消費税、サービス税の徴収が足らないのです

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税金が上がる事は嫌です。僕も、御免です。でもそれは、ちゃんと収入と支出のバランスの取れている場合に言える事で、今の日本は政府の支出の半分程度しか税収がありません。それはつまり「無いカネを使っている」のです。これは放蕩息子と同じです。

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これはいつか訂正が入るし、そうなったときはアテネ五輪の後のギリシャのように、最後には庶民が苦しむのです。

つまり、僕が言いたいのは、ガンガン稼ぎ、ガンガン税金も納めるような、活力に満ちた経済を、政府は演出し、盛り上げてゆく必要があるということです。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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