Twitterが「IPOのための書類を米国証券取引委員会(SEC)に申請したョ」とTweetして、話題になっています。
ところがSECのウェブサイトでS-1(上場申請書類)を確認しようと思うと、これが載ってない(笑)
しかしツイッターがSECに書類を出したのは事実です。要するにそれが公開されていないだけ。
これはオバマ大統領の下で可決されたJOBSアクトという中小企業のビジネス促進法案に基づいた行動です。JOBSアクトでは「中小企業のビジネスをやりやすくするために」という名目で、いろいろな規制緩和がなされています。例えば「ヘッジファンドでも宣伝広告してOK」という具合です。
それで今回の規制緩和のひとつが「小さい急成長企業の場合、シークレット・ファイリング(=書類申請と同時にそれが開示され、誰にでも読めるようになる現在のルールを適用せず、非公開扱いにすること)を許す」というものです。
小さい急成長企業の定義は(僕も今、知ったのですが)売上高で10億ドルだそうです。(これって、中小企業?)
で、ツイッターは売上高10億ドル以下なので、JOBSアクトの規定を利用して、非公開扱いを選んだ……
で、僕はこのJOBSアクトは規制緩和ではなく、法律の改悪だと思うし、今回、ツイッターみたいな大きな企業がIPO直前にゴチャゴチャ水面下でやっている姿を見て、失望しました。
これはFacebookがIPO前に、いちいちこれまでの米国の株式公開のルールにつっかかって、自己流を持ち込み(例えばIPO前に実質的な公募にも匹敵する、大型のプレースメントをしたことなど)、結果としてスッ高値で値決めしたのを思い出させます。
ところがSECのウェブサイトでS-1(上場申請書類)を確認しようと思うと、これが載ってない(笑)
しかしツイッターがSECに書類を出したのは事実です。要するにそれが公開されていないだけ。
これはオバマ大統領の下で可決されたJOBSアクトという中小企業のビジネス促進法案に基づいた行動です。JOBSアクトでは「中小企業のビジネスをやりやすくするために」という名目で、いろいろな規制緩和がなされています。例えば「ヘッジファンドでも宣伝広告してOK」という具合です。
それで今回の規制緩和のひとつが「小さい急成長企業の場合、シークレット・ファイリング(=書類申請と同時にそれが開示され、誰にでも読めるようになる現在のルールを適用せず、非公開扱いにすること)を許す」というものです。
小さい急成長企業の定義は(僕も今、知ったのですが)売上高で10億ドルだそうです。(これって、中小企業?)
で、ツイッターは売上高10億ドル以下なので、JOBSアクトの規定を利用して、非公開扱いを選んだ……
で、僕はこのJOBSアクトは規制緩和ではなく、法律の改悪だと思うし、今回、ツイッターみたいな大きな企業がIPO直前にゴチャゴチャ水面下でやっている姿を見て、失望しました。
これはFacebookがIPO前に、いちいちこれまでの米国の株式公開のルールにつっかかって、自己流を持ち込み(例えばIPO前に実質的な公募にも匹敵する、大型のプレースメントをしたことなど)、結果としてスッ高値で値決めしたのを思い出させます。
「別に、S-1を提出した際に、書類が見れても、見れなくても、どっちでもいいじゃん?」と皆さんは思うかも知れないけど、これは大問題です。
昔のやり方では、S-1を出した瞬間に、それは公開情報となるので、若い企業が日々の業務を行う上で重要な経営情報や、係争関係、顧客関係、その他の秘密にしておきたい情報がバレてしまいます。だから競合他社は、鵜の目鷹の目で、その瞬間を待ち焦がれているわけです。言い換えれば、相手の手の内がわかるからです。
これが小さい企業だと、「実はあそこの売上高の40%は、A社というひとつの顧客から売り上げられていた……」とかの「不都合な事実」を、余り早い段階で知られたくないというのは当然です。バイオテクノロジーなどの、R&Dへの依存度の高い業種の場合、こうしたプレッシャーは、もっと大きいです。
だからJOBSアクトのシークレット・ファイリングで、それが守られるということ自体には、僕も或る程度、理解はあります。問題は「10億ドル」という免除適応範囲が、本当に適切なのか?ということです。
ハッキリ言って、10億ドル近い売上高があるにもかかわらず、コソコソ逃げ隠れしている企業は投資するのがイヤになるし、JOBSアクトはツイッターみたいな企業を保護する目的で作られたのではありません。
シークレット・ファイリングをした事実は、文字通りシークレット(ヒミツ)です。だからS-1申請後に業績がおかしくなって、結局、IPOをとりやめる企業はゴマンとあります。それは恥ずかしいことだけど、ビジネスに不確実性はつきもの。で、JOBSアクト下では、シークレット・ファイリング(=公が知らない間に、米国証券取引委員会のスタッフは、提出された書類を精査し、オピニオンを企業にフィードバックする機会が与えられます)をしてある企業なら、IPOをGO AHED!する決断の21日前に、情報公開に踏み切れば良いということになっているのです。
これは「いちばん業績が良くなった時に、IPOをぶつけよう」という、タイミングに関する選択肢を発行企業側に付与することを意味します。業績が良くなった瞬間に「ホイ来たドン!」で、値決めというわけです。
まあ、それはそういう新しいルールなのだから、許されるでしょう。
でも許せないのは、新ルール下では、そのデメリットとしてマーケティングまでの準備期間が短くなるという事があるわけで、ツイッターは今回、それを補うため、自らシークレット・ファイリングを利用していることを「つぶやき」して、前人気をHypeしているということです。本来、自分は秘密にすることを選んだのに……これって、自己矛盾じゃないケ?
業績の数字にちゃんと当らない、ないしは財務諸表を読んでも、何が何だかサッパリわからないシロウトの投資家というのは、掃いて捨てるほど居ます。そういう人ほど、この手のマーケティング・ギミックに、乗りやすい。
でも結果として、今、ツイッターのIPOで起こっている事は、「IPOしますヨロシク (^^)」というツイートだけで、Buzzが起こっている……
これって、何かずるいと思うのは、たぶん僕だけだろうな。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。
昔のやり方では、S-1を出した瞬間に、それは公開情報となるので、若い企業が日々の業務を行う上で重要な経営情報や、係争関係、顧客関係、その他の秘密にしておきたい情報がバレてしまいます。だから競合他社は、鵜の目鷹の目で、その瞬間を待ち焦がれているわけです。言い換えれば、相手の手の内がわかるからです。
これが小さい企業だと、「実はあそこの売上高の40%は、A社というひとつの顧客から売り上げられていた……」とかの「不都合な事実」を、余り早い段階で知られたくないというのは当然です。バイオテクノロジーなどの、R&Dへの依存度の高い業種の場合、こうしたプレッシャーは、もっと大きいです。
だからJOBSアクトのシークレット・ファイリングで、それが守られるということ自体には、僕も或る程度、理解はあります。問題は「10億ドル」という免除適応範囲が、本当に適切なのか?ということです。
ハッキリ言って、10億ドル近い売上高があるにもかかわらず、コソコソ逃げ隠れしている企業は投資するのがイヤになるし、JOBSアクトはツイッターみたいな企業を保護する目的で作られたのではありません。
シークレット・ファイリングをした事実は、文字通りシークレット(ヒミツ)です。だからS-1申請後に業績がおかしくなって、結局、IPOをとりやめる企業はゴマンとあります。それは恥ずかしいことだけど、ビジネスに不確実性はつきもの。で、JOBSアクト下では、シークレット・ファイリング(=公が知らない間に、米国証券取引委員会のスタッフは、提出された書類を精査し、オピニオンを企業にフィードバックする機会が与えられます)をしてある企業なら、IPOをGO AHED!する決断の21日前に、情報公開に踏み切れば良いということになっているのです。
これは「いちばん業績が良くなった時に、IPOをぶつけよう」という、タイミングに関する選択肢を発行企業側に付与することを意味します。業績が良くなった瞬間に「ホイ来たドン!」で、値決めというわけです。
まあ、それはそういう新しいルールなのだから、許されるでしょう。
でも許せないのは、新ルール下では、そのデメリットとしてマーケティングまでの準備期間が短くなるという事があるわけで、ツイッターは今回、それを補うため、自らシークレット・ファイリングを利用していることを「つぶやき」して、前人気をHypeしているということです。本来、自分は秘密にすることを選んだのに……これって、自己矛盾じゃないケ?
業績の数字にちゃんと当らない、ないしは財務諸表を読んでも、何が何だかサッパリわからないシロウトの投資家というのは、掃いて捨てるほど居ます。そういう人ほど、この手のマーケティング・ギミックに、乗りやすい。
でも結果として、今、ツイッターのIPOで起こっている事は、「IPOしますヨロシク (^^)」というツイートだけで、Buzzが起こっている……
これって、何かずるいと思うのは、たぶん僕だけだろうな。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。