ニューヨーク・タイムズにブータンの新しい首相、ツエリン・トブゲのインタビュー記事が出ました。

ツエリン・トブゲの国民民主党は7月の総選挙で総議席数47のうち32議席を占め、圧勝しました。

トブゲ首相は幼少の頃、インドのダージリンの全寮制の学校で学び、さらにアメリカのピッツバーグ大学で機械工学の学位をとりました。バスケットボールやマウンテンバイクが趣味で、自分のブログやFacebook、Twitterアカウントを持っています。

彼は前政権が提唱していた国民総幸福量(GNH)の概念から距離を置き、「もっと具体的な政策目標の下で、国民がもっと勤勉になり、自分たちの食糧を自給できるようにし、また自分たちの住居も自力で作れるようになりたい」と語っています。

ブータンは世界の最貧国のひとつで、所得やGDPのような尺度では下位にランクされます。そこで1972年頃から「国民総幸福量」という概念を提唱し、世界にこの考え方をアピールしました。(なおこの尺度ではブータンは「世界一幸せな国」だとされています)

ブータンはインドと中国に挟まれた、ヒマラヤ山脈のふもとの国で、水力発電で発電された電力を、エネルギー不足が深刻なインドに輸出しています。これが最も重要な輸出品目です。そして観光業が重要な外貨取得手段です。

歴史的にブータンの国民はギリギリ自給自足できる農業を営んでサバイバルしてきましたが、最近はインドからの補助金で1300棟のアパートが建ち、12万人が農業を棄ててアパートに移り住みました。このアパートは政府から景観が厳しく規定されており、アメリカのコロラド州のスキー・リゾートのような、整然とした風景になっているそうです。

アジアの他の国々にありがちな、カオス的な光景は無く、貧民街もありません。物乞いも居ません。従ってそぞろ歩きするのに適している町になっています。

ブータンはインドと中国という大国同士の睨みあいの中で、明らかにインド側に立つことで、インドの防波堤の役目を果たしています。つまりブータンの提唱する国民総幸福量の概念は、インドに経済支援してもらうことで成り立っているという側面があるのです。