国際通貨基金(IMF)が先日発表した世界経済見通し(WEO)では先進国のGDP成長率予想は均してみると変化ありませんでしたが、新興国は前回(4月)のレポートに比べて2013年が-0.5%、2014年が-0.4%とそれぞれ大きく下方修正されました。

まず先進国のGDP成長率のグラフです。

5

次に新興国のGDP成長率のグラフを示します。前回より数字が低くなっている点に注目して下さい。

6

2003年から2010年にかけてはBRICsブームだったこともあり、新興国の経済成長が先進国のそれを大幅に上回りました。しかし最近は新興国の成長に陰りが見えており、成長への寄与度という点ではむしろ足を引っ張りはじめています。

4

新興国は景気テコ入れというよりブームの後遺症で不動産市場をどう軟着陸させるかとか消費者クレジット市場の焦げ付きをどう防ぐかなどを主に心配しています。

2

3

5月22日にウォールストリート・ジャーナルが「FRBは債券買い入れプログラムを縮小することを計画している」と報道し、それ以降、市場が暗転しました。その際、新興国の下げは先進国より酷かったです。これは過去の経験則としてアジア通貨危機やロシアのルーブル危機などはいずれも米国の金融引き締めの結果として発生したことを投資家が覚えているからです。


このため今回も大きなリパトリエーションが起きました。

1

現在は米国の債務上限引き上げ問題が迷走していることからドルが軟調であり、大きなリパトリエーションが起こる環境にはありません。

しかしこの問題が解決し、再びドル高になると新興国にはマネーが入りにくい環境になります。

また、ひとつ前の記事でも指摘したように、中国の貿易は低調です。貿易もダメ、不動産開発も抑え気味ということになると、中国の建設ブームに素材の需要を依存する国々は引き続き苦しい展開を余儀なくされるでしょう。

7

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。