世界経済フォーラム(WEF)の『国際男女格差レポート』で日本が調査対象136カ国中、105位と低いランクにあり、日本の場合、その原因が:

男女の給与差が大きい
女性が職場で大事なポジションに就いていない
女性の政策決定機関への参加が低い
女性の高等教育への進学率が低い


にあることを紹介しました。

女性の社会進出や機会均等は、一朝一夕に実現するものではありません。少し前進したかと思えば、また後退する……そういう挫折を繰り返しながら、徐々に獲得されてゆくものだと思います。

しかし社会が生産力を短期間に飛躍的に向上させなければいけない危機に直面したとき、女性の働きが感謝され、かつ評価される場面が多く、『国際男女格差レポート』で上位に位置づけられている国々の多くが、そのような外的要因による社会変革を経験していることを前回のエントリーで書きました。

さて、そのような場面で、女性の存在が有難がられた背景には、チャレンジに直面して、彼女たちが結果を出してきたからです。

企業は慈善事業ではないので、ゴーイング・コンサーンとして稼ぐ必要があります。ビジネスの現実というものが先ずあるのです。

だから女性の社会進出はウーマンリブ運動などの自己主張を通じて与えてもらうものではなく「ここぞ」という局面で成果を出し、相手に認めさせるべきものなのです。

世の中には、女性の努力を必ずdisる男性が居ます。だから男性と同じ成果を出すだけではダメです。「120%やる」というくらいの意気込みが無ければ、たぶん評価してくれないと思います。

その点、日本の女性には「死に物狂いで結果を出す」という意識の薄い人が多い印象を受けます。つまり低ランクの原因は日本社会にあるのかも知れないけど、女性の側にもあるのです。

男女の能力差ではなく、コミットメントの差が、デカい仕事を任せてもらえない原因になっていませんか?

もちろん女性の場合、家庭があるなどの理由で120%のコミットメントをすることは実際には難しいでしょう。キャリアを取るか、家庭を取るかの苦しい二者択一になってしまうケースもあるでしょう。その意味では、女性が働きやすくする環境を整えることもすごく大事です。

でも究極的には、女性の中から「私がやります!」と言って、率先してリーダーシップを取る人が出て来ないと、やっぱり駄目なような気がします。つまり『LEAN IN』を書いたフェイスブックのシェリル・サンドバーグのような人が、もっと出て来る必要があるわけです。


僕の好きな歴史上のエピソードに第二次世界大戦の際、アメリカで結成された女性補助飛行部隊の活躍のストーリーがあります。

緒戦でドイツや日本に出鼻を挫かれたアメリカが戦闘機や爆撃機を大量生産して劣勢を挽回してゆく過程で、パイロットが絶望的に不足する事態が発生します。そこで女性だけで編成された飛行部隊が工場から次々に出て来る出来たてホヤホヤの飛行機をどんどん飛ばして前線に届ける裏方の役目を果たしたのです。

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P51ムスタングやP47サンダーボルトなどの世界最先端の戦闘機を、男性パイロットより先に女性が飛ばすというのは、なかなか痛快なコトだと思います。未だ一度も実地で飛ばされていない新品の飛行機を飛ばすのは、リスキーです。そのリスクに女性補助飛行部隊は果敢にチャレンジして行ったわけです。

そのリーダーとなった女性は、ナンシー・ハークネス・ラブ(下の写真)という人です。

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彼女がなぜリーダーとして適格だったかといえば、男性、女性を問わず、兎に角、いちばん操縦が上手かったことが挙げられます。

また操縦の難しい戦闘機や爆撃機ほど、まず自分が実験台になって飛ぶということをしました。

そして安全運航のため、飛行手順や個々の飛行機のクセなどのディテールを徹底的に洗い出し、それをマニュアル化し、さらに無理の無い運行計画を全部自分で作りました。

次に自分に続くリーダーを素早く養成し、自分のノウハウの全てを共有しました。(下の写真はP47サンダーボルトのフライト・リーダーで、ナンシーの右腕として活躍したベティ・ジイリース)

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それらのフライト・リーダーに同じことをさせることで、ネズミ講式にベスト・プラクティスを広げていったわけです。

ナンシー・ハークネス・ラブのマネージメント・スタイルは、部下から恐れられる存在になることで管理するのではなく、チーム構成員同士の、実力に対する相互のリスペクトをベースにするというものでした。

アメリカ陸軍という極めてショービニスティックな世界で彼女たちが認められたのは、結果を出したからです。


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女性の社会的地位向上について 1/2

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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