先日アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)が決算発表したとき、利益が少ないので「あの会社はケチだから、税金を払いたくないがために利益をわざと出してないのだろう」というdisりがありました。

しかし、この議論は正しくありません。

まず税金より時価総額の方が数十倍から時には数百倍も大きいので、経営者は時価総額の最大化を目指して企業を経営します。

それではどうすれば時価総額を最大化できるか? と言えば、それはハイテクやネット関連企業の場合、売上高成長率を高く維持することの一語に尽きます

LAの著名ベンチャー・キャピタリスト、マーク・セスターは「ネット企業が利益を出すことは、簡単だ。成長と利益は、しばしばトレード・オフ(=片方が上がると、もう片方が下がる事)の関係にある。売上高成長率が15%で良いと言われたら、楽勝に利益を出すことが出来る。でもこれがもっと高い成長を出せと要求されたら、経営はとたんに難しくなる」と語っています。

売上高のことをアメリカの投資家は「トップライン」と言います。ハイテクやネット企業の場合、トップラインの成長のデルタ(⊿)を維持することは、とても困難です。だからこそ、投資家は何を置いてもトップライン成長の出ている企業に最大のプレミアムを支払うのです

下はアマゾンとアップルの売上高の推移です。最近、アップルの売上高成長率が鈍化していることがわかります。

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売上高成長率をグラフにすると、次のようになります。アップルの場合、2012年の+44.6%から2013年は7.9%に鈍化しました。

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この影響でアップルの株価は700ドル近辺を天井として、かなり大きく調整したのは皆さんもご存知だと思います。

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一方、アマゾンは2012年に「今後は売上高成長率を狙う経営をするので、利益は犠牲にする」と公言しました。

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それ以降も、アマゾンの株価は下がっていません。これは投資家が「利益は限りなくゼロでも、売上成長があればいい」と考えているからに他なりません。もう一度言いますが、アマゾンくらい大きな企業になるとトップライン成長率で20%以上を維持するのは、大変難しいのです。

アマゾンのEPSを見ると、有言実行で、実際に2012年以降のEPSはボロボロです。でもこれは意図してやっていることであり、投資家がそれを望んでいるからです。

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(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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