★★★★☆
評者:広瀬隆雄

ツイッターの創業を巡る人間ドラマを描いた、ニック・ビルトンの『Hatching Twitter』がようやく出ました。前評判通りの、手に汗握る本です。

この本は『ライアーズ・ポーカー』や『野蛮な来訪者』に匹敵する力作だと思います。

英語の格言に「Success has many fathers, failure is an orphan.」というのがあります。サクセス・ストーリーには「あれは、オレがやったんだ!」と名乗り出る奴が次々に現れるという意味です。

ツイッターの場合もエヴ・ウイリアムズ、ビズ・ストーン、ジャック・ドーシー、ノア・グラスという四人の創業メンバーが、おのおの「あれは、実はオレがやったんだ」と主張し、マスコミや社外の人間は、その二転三転する「真実」に翻弄されてきました。

(本当は、どうだったの?)

本書は、読者のそういう「知りたい」に応えます。

実際のところ、本業のポッドキャスティングのビジネスが上手くゆかず、苦肉の策で始めたプロジェクトだったツイッターは、コンセプトが煮詰まっていなかったので、メンバーたちのいろいろなインプットに基づいて、いきあたりばったりに姿を変え、今のサービスに落ち着いたと説明されるべきでしょう。

ひとたびツイッターが人気化すると、今度は創業メンバー間に内紛が起きます。CEOもコロコロと変わります。

本書では、きれいごとだけではないスタートアップの日常が描かれています。サンフランシスコのハッカー・シーンが生き生きと描かれています。(ノマドかぶれ少年は、この本が「聖書」になるでしょうね)

それぞれの登場人物のキャラがくっきりとわかるので、創業当時のツイッターの社内がどんな様子だったのかがリアルに再現されています。

社畜としてすっかり飼い馴らされてしまった日本の若者には、四人のリスクテーキングの姿勢は、ちょっとまぶしすぎるかも知れません。