映画『ソーシャル・ネットワーク』の中で、フェイスブック創業期に「ザッカーバーグは俺たちからアイデアを盗んだ!」として係争を起こし、愚弄嘲笑されたウインクルボス兄第が、ニューヨーク・タイムズのディールブックが主催するカンファレンスで、CNBCのアンディー・ソーキンからインタビューされました。

上の動画の中で、ウインクルボス兄第は「少なく見積もっても、ビットコインの時価総額は4000億ドルになる」と語っています。それは現在のビットコイン価格が100倍になるという意味です。

この見立ては、滑稽なのでしょうか?

ビットコインは市場に流通する量が、あらかじめ算術的に決まっており、現在の「発行済み株式数」は11,942,775です。(すると440ドルという現在のビットコイン価格を当てはめると、時価総額は52.5億ドルになります)コンピュータに詳しい「山師」がマイニング(採掘)することで、未だ掘り当てられていない埋蔵ビットコインを発見することは可能ですが、その場合でも最高で合計2100万ビットコインしか流通しないことが、既にわかっています。

この希少性がビットコインの価値を押し上げているわけです。

究極的にはビットコインの価値はごく一般の消費者の、利便性の関数だと思います。ウォールストリート・ジャーナルに、ハネムーンで世界旅行をするのに、ビットコインだけで世界を回れるか? を試したカップルが紹介されていますが、今、ビットコインは決済の選択肢としてネット企業だけでなく、オールド・エコノミーの商店主たちにもだんだん受け入れられ始めています

なぜオールド・エコノミーの商店主らは、ビットコインを支払いを受け取る一手段として考え始めているのでしょうか? それは「決済2.0」の世の中が近くなっているからです。

皆さんはどうか知りませんが、僕は最近、ウェブで買い物をするとき、自分のお財布からクレジットカードを出して、それをウェブに入力する機会が、めっきり減りました。

その理由は、アマゾンに行けば、何でも揃っているし、個人情報の流出とかイヤだし、だから誰にでも自分のクレカ情報を渡すのは、気が引けるからです。

これは「消費者のクレカ情報をおさえているネット企業」と「その他大勢の貧民ネット企業」という二極化を引き起こしています。前者に属する企業はアマゾンやアップルなど、片手で数えられる程度のごく一部の特権的企業だけです。その他の企業は、クレカ情報をユーザーから託してもらえない「トラステッド・パートナー」ではない企業で、そういう企業は広告モデルとかに頼ったビジネスしか出来ません。あるいはスマホの毎月の使用料の中に、メルマガのようなカタチで忍び込む方法しか、マネタイズの「魔法のコンビネーション」を解読する方法は無いのです。

結果としてネット企業における「持てる者」と「持たざる者」の格差は、ちょうどロックフェラー帝国のスタンダート石油のように極端に広がっています

決済というものが、デジタル社会の最大のゲーティング・ファクター(成長阻害要因)になってしまっているのです。でもアマゾンとアップルだけに全てを牛耳られるデジタル社会が、理想の姿でしょうか? それって、オーウェリアン的じゃ、ありません?

ビットコインは、いろんな意味で、Linuxのオープン・ソース・プロジェクトと似通っています。Linuxが出てきたとき、多くの識者が「でもマイクロソフトのような企業が信頼性を担保し、日夜、ソフトウェアを改善しなければ、とてもじゃないけどミッション・クリティカルな用途には使えない」式の議論がありました。

通貨でマイクロソフトに相当するのは、例えば日銀でありFRBです。

ビットコインには「中心」がありません。

ビットコインは、それ自体、善でもなければ、悪でもないのです。それがヤクの売人などの反社会的な人たちから真っ先に利用されたひとつの原因は、トランザクションがセキュアーで、個人情報が漏れないからです。

それって、悪い事じゃなくて、良い事ですよね?

今後1年くらいの間に、多くのネット企業は、まるでフェイスブックの「いいね」ボタンを自社サイトに加えるような気軽さで、ビットコインの支払いオプションを追加してゆくと思います。するとユーザー層が増えるので、おのずとビットコインへの需要も増えると考えるのが普通ではありませんか?

ひとつ前のビジネス・インサイダーの記事でもわかる通り、スマホはどんどん普及しているので、ビットコインを使えば「スマホがお財布化」するわけです。

それは言い直せば、一回限りの、ビットコインの大きな価格アジャストメントがいま起ころうとしていることを意味します。