ウォールストリート・ジャーナルによるとイランの国営天然ガス会社、ナショナル・イラニアン・ガス・カンパニー(NIGC)が先週末、破産宣言しました。負債総額は40億ドル程度だそうです。

その後、今週になってNIGCは破産宣言を撤回しようとしているらしいですが、同社が危機的な状況にあることには変わりありません。

イランは世界で2番目に大きな天然ガスの埋蔵量を誇っており、世界の15%を占めています。しかし経済制裁の影響で先進国はイランと商売したがらず、NIGCは増産のために必要な先行投資が出来ない状態が続いています。

現在の経済制裁では石油は制裁の対象になっていますが、天然ガスは対象外です。しかし天然ガス開発に必要なLNGタンカーやプラントや工事資金の調達が経済制裁で出来なくなってしまっているのです。

この経済制裁で、長期的に見ると日本は不利益を被っていると考える事ができます。

なぜならば現在、日本はイランのペルシャ湾を挟んで反対側の国、カタールから、極めて割高な天然ガスを長期契約で買わされているからです。

実はカタール沖の天然ガス田、ノースフィールドと、イラン沖の天然ガス田、サウスパースは、ひとつの連続した天然ガス田です。それを分け隔てているのは海底の国境線だけです。

カタールがその天然ガスをどんどんカタール側から吸い上げているので、イランは焦っています。でも天然ガス開発には巨大な設備が必要なので、イランは指をくわえて眺めている状況なのです。

数年前まではカタールが独占的な環境を作っていたので、その時に締結された天然ガス供給契約は日本にとってかなり不利なものになっています。最近ではオーストラリアの天然ガス田の開発が進んでいるので、競争状態は少し改善してきています。

しかし理想を言えばイランにも天然ガス開発をやってもらい、カタールとイランの間で激しく競争して貰った方が、日本としては値段が安くなると思うのです。もちろん、天然ガスの供給計画は10年以上に渡る長期契約が標準です。だから直ぐに明日から値段を下げることには寄与しません。でもこの状態を長く放置しておくと、皆さんが払った電気代が、回り回ってカタールの摩天楼に化けるという、何とも情けない話になるわけです。