国際通貨基金(IMF)は最近提出された湾岸諸国(Gulf Cooperation council)に関する報告書の中で、米国におけるシェールガス、シェールオイルの開発が湾岸諸国に対して悪い影響を及ぼす可能性を指摘しています。

下は2004年以降の世界の原油の需要と供給の推移を示したグラフです。

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リーマン・ショックは世界の原油需要の急減を招きました。これを受けて供給も生産調整により絞り込まれています。しかしそれでも2012年から2014年にかけては供給の方が需要を上回ってしまっています。

この一因はアメリカにおけるシェール革命です。過去5年間で米国の非伝統的な原油(=つまりシェール・オイル)の生産は30%増えました。同じ期間、非伝統的な天然ガス(=つまりシェール・ガス)の生産は25%増えました。向こう5年間でこれらは15%増えると予想されています。

つまりこれまでは不景気で世界の原油需要が低迷すると主にサウジアラビアが生産調整することでバランスを取ってきたわけですが、そのような生産調整がなかなか効力を発揮しにくくなっているのです。

この結果、OPECは慢性的な過剰キャパシティに陥りつつあります。

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アメリカのシェール・オイルは「ライト(軽い)」かつ「スイート(甘い)」です。これらは石油業界独特の表現で、具体的にはAPI(American Petroleum Institute)比重で20以上の等級であれば「軽い」と分類されます。参考までにウエスト・テキサス・インターメディエーツ(WTI)のAPI比重は39.6です。また「スイート」とは硫黄分の含有率が低いことを指していて、WTIの場合、硫黄含有率は0.24%です。

アメリカは最近、原油の輸入国から輸出国に転じています。このことは、アメリカで良く産出される等級の原油が、世界市場で特にダブつく可能性があることを示唆しています。具体的にはアルジェリアやナイジェリア産の原油が最も競合してしまいます。

これに対してサウジアラビアの原油は「ヘヴィ」で「サワー(酸っぱい)」なので、比較的悪影響は軽微です。