米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA: Energy Information Administration)が2014年版の長期見通し(AEO2014)暫定版を発表しました。以下はそのハイライトです。

最初のグラフは米国内での天然ガス、原油、その他のエネルギーの生産の予想です。

1

原油の中にはシェールオイルが含まれています。ロイターなどは「2020年頃にシェールオイルの生産はピークをつける」という点を特に強調して報道していたようですが、その後の生産の減少は極めてなだらかである点に気を付ける必要があると思います。言い換えれば直ぐに枯渇するというわけではないのです。

あとこの原油生産の予想にはカリフォルニアのモンタレー・シェールの数字が入っていない筈です。モンタレー・シェールは米国のシェールオイルの3分の2を占める、巨大な資源ですが、現在は規制により生産できないことになっているので、勘定に入れられないわけです。

もうひとつ上のグラフから読み取れることは、天然ガスの生産はとうぶんピークを付けることはなく、じわじわ増産されてゆくと見られている点です。それが他を補って、なお余りあるので、全体としての米国のエネルギー生産はとうぶんピークを打ちません。

なお、昔の予想では「無尽蔵にある」石炭が他の落ち込みを補うという考え方が主流でしたが、今は地球温暖化現象を引き起こしにくい天然ガスがふんだんに採れることから、石炭は温存されるというのがメイン・シナリオになっているのだと思います。

次にエネルギーの輸入ですが、原油の輸入が最近、どんどん落ち込んでいる点が注目されます。これはシェールオイルが採れるからです。米国が外国から石油を買わなくなるということは、地政学的な含蓄が当然生まれます。歴史的にアメリカが原油を買っている国は、カナダ、サウジアラビア、ベネズエラ、メキシコ、ナイジェリアなどです。

2

次のグラフは米国からのエネルギーの輸出です。

3

第二次オイルショックの際、米国は石油や天然ガスを「付加価値をつけないまま」輸出することを原則禁止としました。だから原油を輸出することは出来ないのです。但し、精製して、ジェット燃料その他の製品にすればOKです。また天然ガスは液化天然ガス(LNG)にする過程で付加価値がつく(=体積が600分の1になります)と考えられ、各個ベースで輸出許可がおります。

次のグラフはウエスト・テキサス・インターメディエーツ(WTI)というアメリカでの原油の指標銘柄の長期価格予想です。

4

2023年頃までは、原油価格は今の水準と同じか、それ以下で推移すると見ているわけです。

次は天然ガス価格です。ヘンリーハブが米国の指標銘柄です。シェールガスのブームで天然ガス価格は急落しましたが、今後は4ドル前後で推移すると見られています。

5

米国の発電所がどのエネルギー源で発電するか? を示したのが次のグラフです。

6

石炭はコストが安いため、石炭による発電をアメリカが止めることは無いと思います。しかしだんだん天然ガスの比率が高まってゆく様子がわかります。

最後に電力価格ですが、今後もずっと安定すると予想されています。テスラの『モデルS』に代表されるEVが普及する、ひとつの要因はここにあると言えるかも知れません。

7

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。