既に皆さんもご承知のことと思いますけど、来年の予算を議会がアッサリ決めてしまったので、またぞろ歳出一斉削減の羽目に陥る可能性は早々に消えました。

いつものような引き延ばし審議を覚悟していた投資家としては、肩透かしを喰った塩梅です。

ある意味、バーナンキ議長が先の連邦公開市場委員会(FOMC)で債券買い入れプログラムの縮小(=これをテーパリングと呼びます)を発表できたのも、議会の不透明感が払しょくされたコトに助けられたわけです。

それにしても何故議会はいそいそと予算を成立させてしまったのでしょう?

これには二つの要因が絡んでいます。

まず来年は中間選挙の年です。だから議員さん達は、自分の人気を落とすような行為は極力避けたいということです。

去年、歳出の一斉削減、政府機能の一部閉鎖、債務上限引き上げ問題の迷走などが起こる過程で、有権者は議員さん達の働きぶりにホトホト嫌気が差しました。議員さんたちも(パフォーマンスもほどほどにしないと、逆効果だぞ)ということがわかったのです。そこで彼らはピボットした。これが第一点。

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もうひとつのイベントは、オバマの医療保険プログラムのウェブサイト・オープンが、とんでもないトラブル続きで、庶民を呆れさせたことです。

一番安い医療保険を比較購入することが出来ないばかりか、下手すると今、消費者が加入している医療保険すら値上げや継続拒否のリスクに晒されたとあって「オバマ、何やってんだ!」という有権者の怒りが爆発しいているわけです。若しホワイトハウスという株があれば、いまごろ暴落してペニー・ストックと化しているに違いありません。

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オバマの人気凋落は、これまでの民主・共和党の力の均衡を崩したし、民主党議員は自党の政策(=オバマケアもそのひとつ)に余りこだわっていたら、自分の首を絞めかねないと、少し距離を置き始めました。


これらのことから、去年まで経済成長の足を引っ張ってきた財政要因が、今後も米国経済の「重し」となるリスクは霧散しました

それは何を意味するか? と言えば、米国のGDP成長率はUPSIDEのリスクが大きくなったということです。

もちろん、経済が成長するのは良いコトだけど、それはイエレン新議長が、慌ててテーパリングを加速しなければいけないリスクも少し高まっていることを示唆しています。

アメリカの投資家はリーマンショック以降の超緩和的な金融政策に完全に慣れっこになっていて、経済が「もはや戦後ではない」という状態に既に来ているにもかかわらず、「永遠の量的緩和」のメンタリティーから抜け切れていません。

2013年はアメリカ株のパフォーマンスが凄く良かったわけだけど、過去を振り返ると米国株が+20%以上騰がった翌年は、大体、相場は悪いです

また中間選挙の年は、大きな調整が入りやすいです。

フロリダの著名なテクニカル分析の会社、ネッド・デービス・リサーチによると、中間選挙の年は最大で-20%程度の押し目が入る(=但しイールドカーブが正規の状態の年の場合)としています。下は直近の過去2回の中間選挙の年の株式市場の動きです。

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現在のイールドカーブは正規の状態ですから、その論法からは-20%以上の深い調整を心配する必要は、いまのところなさそうです。

でも調整は、来る。

『ストック・トレーダーズ・アルマナック』のイェール&ジェフ・ハーシュによると、中間選挙の年の安値は絶好の買い場であり、2014年以降の経験則では、その安値から翌年(=今回の場合は2015年)の高値まで、平均して+48%のラリーが期待できるという調査結果があります。

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だから2014年という年はBUY & HOLDではなく、年前半のどこかでサッサと持ち株を処分して、キャッシュを積み上げておき、大きな下げが来たら、果敢に買いに入る……そういうスタンスが要求されるのです。


(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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