今日(1月10日付け)のニューヨーク・タイムズのB1面(ビジネス・トップページ)に「日本が国産米の保護を再考しはじめている」と題する記事が掲載されました。

NYタイムズの説明では、日本はこれまでコメを単なる農産物以上の、神聖な存在と考え、日本農業の誇り高き伝統を守るのみでは無く、日本国民の心のよりどころとして、「貿易交渉の対象にするなど、とんでもない」という考えから、778%という高い関税を輸入米に課すことで、国内の農家を守ってきました。

NYタイムズは、さらに「日本のコメ農家は、平均して1年で30日しか農作業をしない」と指摘し、補助金で守られた零細な農家は、スケールメリットを出せないけれど、JA(全国農業協同組合=全農)で働く21.6万人の組合員にしてみれば、「零細農家が零細なまま、維持されることは、逆に都合が良い」と解説しています。

その理由はJAはそれらの農家からコメを集荷し、販売することで、手数料を得ているからです。このような状況を、コメに適用されるような各種の保護を受けていないフルーツや野菜の栽培業者は「コメに対する補助は、実際のところ農家を守っているというより農協の利害のためにある。農協は、ひる(Leech-off)のように、農家に吸いついて、その血を吸っている。これが農業経営を改革できない本当の理由だ」としています。

記事中、越後ファームという自然農法プレミアムこしひかりの栽培企業の近正宏光社長のエピソードが紹介されており、同社が10年前にオルガニック農業によりコメを栽培するベンチャーを立ち上げようとしたところ、官僚から田んぼのリースの取得に際し、いやがらせを受け、また地元の農家から田んぼに石を投げ込まれたり、自分が立ち去った後で塩を撒かれたりしたことを打ち明けました。

近正氏によると「日本のコメ農家が駄目になっているのは、自由貿易協定とは無関係で、都会の人たちが考えているような理想郷的なコメ作りは、過去のモノになっている」のだそうです。

Market Hackは投資サイトなので日本の農業や政治に関する意見は、ありません。特にコメの問題は複雑な問題なので、そもそも意見できるような立場にもなければ、理解も無いです。

ただ日本の農業の補助金に関する大きな記事が当地のメジャーな新聞に出た事で、これまで日本の農業をTPPの争点だとは考えて来なかった一般のアメリカ人が、この問題に注目するキッカケになるかも知れないことを指摘したいと思います。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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