サントリーが米国のバーボン・ウイスキーの会社、ビーム(ティッカーシンボル:BEAM)を一株当り83ドル50¢で買収すると発表しました。支払いはオール・キャッシュ(現金)です。買収総額は約160億ドル(バランスシート上の24.8億ドルの負債を含んだ計算)で、これはかなりまとまった金額の買収と言えます。

サントリーが今回提示した価格は1月10日のビームの引け値に比べて+25%のプレミアムであり、ビームの2013年9月期で〆た過去12カ月のEBITDAの20倍です。このバリュエーション(評価)は、リーズナブルです。

今回の買収はサントリー、ビーム両社の取締役会の承認を既に得ています。

ビームはもともとフォーチュン・ブランズと呼ばれる、ミニ・コングロマリットの一部として経営されてきました。部門ごとの経営目標を鮮明に出し、事業ポートフォリオの持っている潜在性をもっと引き出す狙いで2011年秋にビーム部門(バーボン・ウイスキーの銘柄、『ジム・ビーム』からこの社名が取られています)はその他のフォーチュン・ブランズと切り離され、別々の銘柄として上場されてきました。

さて、ビームの製品ポートフォリオですが、ジム・ビーム(バーボン・ウイスキー)、メーカーズ・マーク(バーボン・ウイスキー)、クルボアジェ(コニャック)、カナディアンクラブ(ウイスキー)、サウザ(テキーラ)などがあります。

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(出典:ビーム)

同社はバーボン・ウイスキーのカテゴリーでは世界最大です。またウイスキーでは米国とドイツでNo.1です。


最近、いわゆるブラウン・リカー(琥珀色の酒類)の消費量が伸び始めており、この中でもとりわけバーボン・ウイスキーが注目されています。従来、バーボンは高級なお酒というイメージでは無かったのですが、最近はバーボンのプレミアム化が進んでいます。このトレンドの旗振り役になっているのがジム・ビームです。

同社はこれまで退屈なコングロマリットの一部として経営されてきた関係で、新興国への進出などが遅れています。サントリーの傘下で、より大きな経営資源を得ることで、ビーム・ブランドの海外進出が加速することが予想されます。

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【略号の読み方】
DPS一株当たり配当
EPS一株当たり利益
CFPS一株当たりキャッシュフロー
SPS一株当たり売上高



(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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