米国ではシェールガスやシェールオイルの開発ブームが続いています。それらを生産する際に付随的に採れる液化石油ガス(LPG)が余りはじめています。

LPGは「LPガス」と呼ばれる場合もあり、また家庭用に使われているLPGの多くはプロパンガスと呼ばれる種類のものです。

現在、欧州におけるLPGの市場価格は$125/バレルですが、アメリカのメキシコ湾岸では$52/バレルまで価格が下がっています。これをVLGC(Very Large Gas Carrier)に積載して欧州に届けるコストは$4/バレルなので、運賃をいれても未だ十分にお釣りが来ます。

現在、アメリカにはLPG輸出ターミナルは3つしかありません。テキサスに2つ、ペンシルバニアに1つです。しかし今後9つの輸出ターミナルが建設される予定になっています。これにより米国のLPG輸出能力は現在の3倍になると見込まれています。

さて、LPGの輸出にはLPG船が必要になるのですが、世界最大のLPG船のオペレーターがナビゲーター・ホールディングス(ティッカーシンボル:LVGS)です。

1

同社はハンディサイズと呼ばれる、比較的小さく、水深の浅い港でも容易に出入りできるLPGタンカーのマーケットシェアで27%を占めています。

LPG船を建造できる世界の造船所は2016年まで予約で一杯になっており、その多くはナビゲーター・ホールディングスの注文です。従って同社のマーケットシェアは今後上昇することが予想されます。



ナビゲーター・ホールディングスの株式の42%はバリュー投資家、ウィルバー・ロスが支配しています。

直近の過去12カ月の売上高は約2億ドルで、2013年度の営業キャッシュフローは1.25億ドル前後です。

リスクとしてはLPG船の運航をする上で、事故が発生するリスクが先ず指摘出来ます。

次に何らかの理由でシェールガス、シェールオイルの生産が減り、それに伴ってLPGの供給も減少すれば、同社にとってネガティブです。また供給の減少によるLPG価格の上昇のシナリオでは上に述べた海外市場と米国国内市場の間に発生している、大きな価格差が縮まる可能性があります。その場合は海外からの引き合いが減少するリスクがあります。

なお、LPGはMarket Hackで最近、よく取り上げている液化天然ガス(LNG)とは別のものです。乱暴に言えばLNGは電力会社などの大口の需要家向けが主で、冷却するのに大がかりな装置が必要です。LPGは比較的低コストの装置で冷却することができ、最終需要はプロパンガスのような家庭向けが中心となります。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。