サントリーが米国のビームを買収したとき、僕はその提示価格を「リーズナブルだ」と書きました。その考えに変わりはありません。
企業買収に際しては「その値段なら、既存株主から株を全部吸い上げることが出来る」値段を提示すべきです。そうでなければ投資家からソッポを向かれ、買収は成就出来ません。
「この値段なら、手放してもいいな」というインセンティブを含む提示額は、場でついている株価より当然、高くなければ意味が無いのです。その差額をテイクアウト・プレミアムと言います。今回のプレミアムは+25%で、これはギリギリ株主がOKする数字だと思います。
次に割高かどうかを判断する、もうひとつの基準、比較対象について述べます。下は主な上場されている洋酒メーカーのEV/EBITDA倍率のチャートです。

ここでのEVとはエンタープライズ・バリューの略で、株式時価総額に負債額を足したものです。EBITDAは利払い税金償却前利益のことです。
このような同業他社との比較を「コンプ」と言うのですが、比較する際、Apples to apples、つまり同じもの同士を比較しているかどうかが極めて重要になります。
グラフ中、コンステレーション・ブランズはウォッカのスヴェードッカ、ワインのロバート・モンダビ、ビールのコロナなどを傘下に持っています。
ブラウン・フォアマンはビームと最も競合している会社で、ジャック・ダニエルズ、アーリー・タイムズなどのブランドを持っています。これらの琥珀色のお酒(brown liquor)は今、最も成長している分野で、従って魅力的な買収ターゲットです。残念ながらブラウン・フォアマンは一族が多くの株式を支配しており、簡単に買わせて呉れません。
グルーポ・モデロはメキシコのビールの会社です。
ディアジオはジョニー・ウォーカー、キャプテン・モルガンなどのブランドを持っています。
ぺルノ・リカールは食前酒のぺルノの他、コニャックのマーテル、ウォッカのアブソルートなどを持っています。
企業買収に際しては「その値段なら、既存株主から株を全部吸い上げることが出来る」値段を提示すべきです。そうでなければ投資家からソッポを向かれ、買収は成就出来ません。
「この値段なら、手放してもいいな」というインセンティブを含む提示額は、場でついている株価より当然、高くなければ意味が無いのです。その差額をテイクアウト・プレミアムと言います。今回のプレミアムは+25%で、これはギリギリ株主がOKする数字だと思います。
次に割高かどうかを判断する、もうひとつの基準、比較対象について述べます。下は主な上場されている洋酒メーカーのEV/EBITDA倍率のチャートです。

ここでのEVとはエンタープライズ・バリューの略で、株式時価総額に負債額を足したものです。EBITDAは利払い税金償却前利益のことです。
このような同業他社との比較を「コンプ」と言うのですが、比較する際、Apples to apples、つまり同じもの同士を比較しているかどうかが極めて重要になります。
グラフ中、コンステレーション・ブランズはウォッカのスヴェードッカ、ワインのロバート・モンダビ、ビールのコロナなどを傘下に持っています。
ブラウン・フォアマンはビームと最も競合している会社で、ジャック・ダニエルズ、アーリー・タイムズなどのブランドを持っています。これらの琥珀色のお酒(brown liquor)は今、最も成長している分野で、従って魅力的な買収ターゲットです。残念ながらブラウン・フォアマンは一族が多くの株式を支配しており、簡単に買わせて呉れません。
グルーポ・モデロはメキシコのビールの会社です。
ディアジオはジョニー・ウォーカー、キャプテン・モルガンなどのブランドを持っています。
ぺルノ・リカールは食前酒のぺルノの他、コニャックのマーテル、ウォッカのアブソルートなどを持っています。
東洋経済の記事ではSMBC日興証券のアナリストのコメントが引用されており「買収金額はビーム社のEBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費を加算)の20倍以上だが、食品業界は10倍台前半が一般的。今回の案件を安いと言う人はまずいない」ということですが、お酒の会社を成長率の低い食品のグループと一緒に論じるのは間違っています。
若しこのアナリストの言うように10倍前後のEV/EBITDAマルチプルを当てはめるのなら、提示価格は場で付いているビームの株価より低くなってしまい、機関投資家から一笑に付されるのがオチでしょう。
投資銀行業務とは、つきつめて言えば「ものの値段を知る」ということに尽きます。「通り相場」という風に言い直しても良いでしょう。これは新規株式公開(IPO)のように「幾らなら、出せるか?」を判断する局面にも当てはまりますし、その逆にM&Aのように「幾らなら、吸い上げられるか?」を判断する場合にも極めて重要になってくるのです。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
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