トルコの気合の利上げで、一旦は底打ちしたかに思われた新興国危機ですが、また売り圧力が強まっています。
南ア・ランド、トルコ・リラ、ハンガリー・フォリント、ポーランド・ズロチ、ロシア・ルーブルなどが軟化しています。
新興国ファンドの解約ラッシュで、個人投資家が資金を引き上げているのがその原因です。
普通、新興国は自国の通貨が売られ始めると、最も短い時間で効き目のある対処法を取ります。
それは今回、トルコが行ったような利上げです。
利上げすると自国の利回りが増すので、一見すると「日本の、限りなくゼロに近い金利より、こっちの高金利国の方が魅力だな」という、最も初心者の投資家をつなぎとめるエサになるのです。
しかし、よく考えてみるとトルコ・リラの場合、先の利上げの前に-11%も通貨が減価したわけだから、高金利で得られるゲインは、全て為替のヤラレで吐き出してしまっているわけです。
普通、クレジットカード金利は、しばしば期日にちゃんと返済できない、だらしない借り手ほどスコアが悪くなり、その結果としてバカ高い金利になってしまいます。つまり信用が無いわけです。
新興国通貨もこれと全く同じで、金利を上げてなんとか投資家をつなぎ止めようとする国は、信用が置けないと見做されます。
実際、今回のトルコのように一気に4.25%も金利を引き上げると、景気が締め殺される事は必至。
このように副作用が強い政策なのに、なぜ新興国の中央銀行は、敢えて利上げするのでしょうか?
南ア・ランド、トルコ・リラ、ハンガリー・フォリント、ポーランド・ズロチ、ロシア・ルーブルなどが軟化しています。
新興国ファンドの解約ラッシュで、個人投資家が資金を引き上げているのがその原因です。
普通、新興国は自国の通貨が売られ始めると、最も短い時間で効き目のある対処法を取ります。
それは今回、トルコが行ったような利上げです。
利上げすると自国の利回りが増すので、一見すると「日本の、限りなくゼロに近い金利より、こっちの高金利国の方が魅力だな」という、最も初心者の投資家をつなぎとめるエサになるのです。
しかし、よく考えてみるとトルコ・リラの場合、先の利上げの前に-11%も通貨が減価したわけだから、高金利で得られるゲインは、全て為替のヤラレで吐き出してしまっているわけです。
普通、クレジットカード金利は、しばしば期日にちゃんと返済できない、だらしない借り手ほどスコアが悪くなり、その結果としてバカ高い金利になってしまいます。つまり信用が無いわけです。
新興国通貨もこれと全く同じで、金利を上げてなんとか投資家をつなぎ止めようとする国は、信用が置けないと見做されます。
実際、今回のトルコのように一気に4.25%も金利を引き上げると、景気が締め殺される事は必至。
このように副作用が強い政策なのに、なぜ新興国の中央銀行は、敢えて利上げするのでしょうか?
それは自分の国の通貨が「売り一色」になり、誰も買う人がいなければ、中央銀行が自ら買い支えないと、売買が成立しなくなるからです。すると為替は真空地帯をドカ下げします。
それでしぶしぶ通貨の買い支えをするわけだけど、そのときの原資は、外貨準備と言われるものです。この減り方を横目で見ながら、歯を食いしばって、買い支えするわけです。
でも外貨準備がゼロになってしまうと、全く買い支えが出来なくなるので、通貨は暴落します。
アルゼンチンの場合、過去に通貨危機を経験しているので、他の新興国より立ち回りが老獪です。
アルゼンチンの中銀は、早い段階で「すっ」と身を引き、買い支えを止めてしまいました。それでペソは暴落したわけです。
ただペソが暴落してしまうともう利上げする必要は無いわけだから、経済が高金利に苦しむことはありません。次に自国の輸出競争力は、俄然UPします。とりわけアルゼンチンの場合、農産物など比較的付加価値の低い品目が輸出アイテムなので、自国通貨安は農家にとって大歓迎です。
さらに国民の購買力は減ります。なぜなら輸入品の値段は跳ね上がるからです。でも輸入品を誰も買わなくなると貿易収支は改善するのです。
よく中銀の買い支え断念による通貨暴落は、その新興国が逝った証拠であり、そこで全ては終わったと勘違いする投資家が多いですけど、それは全く投資のコトを理解していません。
新興国投資で最も安全な瞬間とは、全てが灰燼に帰し、第二次大戦の空爆の後のドレスデンのように、もう壊すもの、守るべきものがなにもなくなったときです。メキシコも、タイも、インドネシアも、アルゼンチンも、ロシアも、そういうタイミングで買いに入れば、ウハウハに儲かりました。
でも、それは今じゃありません。
全てが打ち壊されるのが先です。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
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それでしぶしぶ通貨の買い支えをするわけだけど、そのときの原資は、外貨準備と言われるものです。この減り方を横目で見ながら、歯を食いしばって、買い支えするわけです。
でも外貨準備がゼロになってしまうと、全く買い支えが出来なくなるので、通貨は暴落します。
アルゼンチンの場合、過去に通貨危機を経験しているので、他の新興国より立ち回りが老獪です。
アルゼンチンの中銀は、早い段階で「すっ」と身を引き、買い支えを止めてしまいました。それでペソは暴落したわけです。
ただペソが暴落してしまうともう利上げする必要は無いわけだから、経済が高金利に苦しむことはありません。次に自国の輸出競争力は、俄然UPします。とりわけアルゼンチンの場合、農産物など比較的付加価値の低い品目が輸出アイテムなので、自国通貨安は農家にとって大歓迎です。
さらに国民の購買力は減ります。なぜなら輸入品の値段は跳ね上がるからです。でも輸入品を誰も買わなくなると貿易収支は改善するのです。
よく中銀の買い支え断念による通貨暴落は、その新興国が逝った証拠であり、そこで全ては終わったと勘違いする投資家が多いですけど、それは全く投資のコトを理解していません。
新興国投資で最も安全な瞬間とは、全てが灰燼に帰し、第二次大戦の空爆の後のドレスデンのように、もう壊すもの、守るべきものがなにもなくなったときです。メキシコも、タイも、インドネシアも、アルゼンチンも、ロシアも、そういうタイミングで買いに入れば、ウハウハに儲かりました。
でも、それは今じゃありません。
全てが打ち壊されるのが先です。
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