ニューヨーク・タイムズは土曜日の第一面トップ記事でアルゼンチンの銀行の前に預金者が殺到している写真を掲載しています。

その記事によると新たな通貨危機の兆候が出て以来、クリスティーナ・キルチネル大統領は国民の前に殆ど姿を見せなくなっているそうです。それまで「出たがり」だった大統領は去年10月に脳内出血で休養したのですが、それでも活発にツイッターでつぶやいたりしていました。

ところが1月からはツイッターの更新も殆ど無くなっています。

そのキルチネル大統領がキューバで開かれる南米のサミットにはいそいそと出かけ、キューバから「フィデル・カストロの孫たちと面会した」とツイートしたのでアルゼンチン国民は通貨危機を完全にスルーすると決め込んだキルチネル大統領に対し、失望しています。

キルチネル大統領は格差是正を掲げて大統領になりました。その一環として電力料金の値上げ凍結を打ち出しました。しかしこれは国庫の負担の増大を招きました。

また電気代が安いので無駄遣いから電力消費量が急増し、エネルギーの輸入が増えました。それは国際収支の悪化の一因となりました。

今回の通貨危機はアルゼンチン中央銀行によるペソ買い支えで外貨準備が減ったことで貯蓄を守るため同国の裕福層が海外に資金を送金し、ドルなどに換金したことが原因です。

アルゼンチンは2001年にも通貨危機を経験しています。同国は、長年、アルゼンチン・ペソを米ドルとペグ(固定)させてきました。しかし経済の実力より強くなってしまったアルゼンチン・ペソは同国の競争力を削ぎました

2001年のペソ切り下げ以降、アルゼンチンの輸入は急減し、貿易収支は改善しました。

1

しかしその後は再び輸入の伸びが輸出の伸びを上回る、不健全な体質がぶり返しています。


経常収支を見ると2002年には急改善したものの、2010年以降は再び赤字になっています。

2

通貨切り下げは停滞していたアルゼンチン経済に活を入れました。

3

しかし最近は再び低成長になっています。

通貨切り下げは輸入物価の暴騰を招き、アルゼンチンの中産階級は壊滅的な打撃を受けました。

4

その後も慢性的なインフレ体質が続いています。

アルゼンチンの構造的財政収支は醜悪です。

5

失業率は高止まりしています。

6

現在、キルチネル大統領の支持率は27%に下がっています。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。