先日、最も歴史の古いビットコイン取引所、Mt. Goxが「顧客による引出しを一時ストップする」と通告しました。

ビットコイン関係のサイト、コインデスクが読者に対して行ったアンケート調査ではMt. Goxを使っている7割近くのユーザー(=914人)が「引出しリクエストを出してから、未だお金を受け取っていない」と回答しました。お金を受け取っていないユーザーの多くは、何カ月も待たされているそうです。

残りの3割は「ちゃんとお金を受け取った」と回答しています。

Mt. Goxの対応の悪さにしびれを切らしたオーストラリアの投資家「コインサーチャー」は、飛行機に乗り、16時間かけて日本のMt. Goxの事務所(渋谷区渋谷2-11-6ラウンドクロス渋谷)に押しかけました

そして受付で粘って「Mt. Goxの経営陣に面会させろ!」と主張したのだそうです。

結局、待たされた挙句、コインサーチャー氏はMt. Goxのマーク・カーペレス(Mark Karpeles)CEOと事業開発部長のゴンザグ・ゲイブチェリー(Gonzagur Gay-Bouchery)氏と面談することに成功したそうです。

少なくとも経営陣が夜逃げしていなかったので、一部のユーザーはホッと胸をなでおろしています。

Mt. Gox経営陣は「大部分のMt. Goxユーザーのビットコインはセキュアーで、簡単にアクセスできないフィジカルな冷たいストレージ(cold-storage)に分散保管されている」と説明しました。

また経営陣は「Mt. Goxは特に有名なので政府機関や銀行パートナーから詮索されやすく、今もここでは言えない調査が進行中だ」と説明しました。

また一時引出し停止の措置は純粋に技術的な問題からくることで、「全てのビットコインは安全だ」としています。


Mt. Goxは2009年に創業され、2011年に創業者ジェド・マケイレブ(Jed McCaleb)氏がマーク・カーペレス氏に経営権を譲渡しました。それ以来、カーペレス氏の会社、タイバン(Tibanne Ltd.)の子会社となっています。

ところでMt. Goxのオフィスに座り込みを決め込んだコインサーチャー氏はMt. Gox東京事務所のスタッフから「サンドイッチどうですか?」とか「お昼に行きませんか?」といろいろ心遣いを受けたそうです。

どうやらMt. Goxの問題はインチキというよりも金融取引をちゃんと執り行うコンピタンスを備えていない、経営陣の能力不足の問題のように見えます。

これとは別にアメリカでは「それならちゃんとしたビットコイン取引所を立ち上げようじゃないか?」という動きが出ています。

Facebookなどの未公開株を売買する取引所、セカンドマーケット(SecondMarket)が、米国にちゃんと金融当局から承認を受け、アングラマネーを除外した、正統な投資家だけを相手にしたビットコイン取引所を計画しているそうです。