日曜日のニューヨーク・タイムズに最近中国黒竜江省ハルビン駅内にオープンした安重根記念館の背景と市民の反応を伝える長尺記事「中国の展示:反日キャンペーンの一環はエスカレートする両国のいさかいを反映China Exhibit, Part of an Anti-Japan Campaign, Reflects an Escalating Feud」が掲載されました。

安重根(あんじゅうこん)は朝鮮の活動家で1909年10月26日に伊藤博文をハルビン駅の構内で襲い、暗殺した人です。

記事では多くの中国人がこれまで安重根という人物の存在をぜんぜん知らなかったことが紹介されています。

しかしこの展示をみて「私は日本に腹が立つ。この人物はヒーローだ」という感想を持つ来館者が多いそうです。

ニューヨーク・タイムズのジェーン・パーレス記者は「同記念館は単なる歴史の展示ではなく最近エスカレートしている日中のいさかいを反映した反日キャンペーンの一環である」と説明しています。

同様のメディア攻勢はいろいろなかたちで展開されており、一例として最近、在ロンドン中国大使が「日本は『ハリー・ポッター』に登場するヴォルデモート卿だ」とコメントし、またザ・グローバル・タイムズ(The Global Times)では日本をナチスに喩える諷刺画が掲載されたことをNYタイムズは紹介しています。

また中国外交部は最近の報道機関向けデイリー・ブリーフィングの中で731部隊(関東軍防疫給水部=生物兵器研究機関)の存在を強調したと紹介しました。

NYタイムズは「この展示は、米国政府が仲たがいしている韓国と日本をなんとかまとめ、中国に対する共同戦線を張らせようとしていることに対する地政学上の綱引きだ(The exhibit, in fact, is part of a larger geopolitical tug of war, as the United States attempts to force its squabbling allies, South Korea and Japan, to put up a united front in its battle for influence with China.)」と解説しています。

ただ韓国政府と中国政府は反日キャンペーンという面では逆に歩み寄っており、必ずしもアメリカが願っている方向には展開していないことが説明されています。