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伝説的キャンピング・トレーラー、AIRSTREAM(エアストリーム)を製作しているソア・インダストリーズ(ティッカーシンボル:THO)は、業種でいえばレクリエーション産業に属します。

このセクターはモーターボート・エンジンのブランズウィック(ティッカーシンボル:BC)、ゴルフ用具のキャラウェイ(ティッカーシンボル:ELY)、オートバイのハーレー・ダビッドソン(ティッカーシンボル:HOG)ならびにポラリス(ティッカーシンボル:PII)など、雑多な企業の寄せ集めとなっています。

レクリエーション用品は消費者に余裕があるときに購入されるため、極めてシクリカル(市況的)、つまり景気に左右されやすいです。

このような経営の難しい業種にあって、ソア・インダストリーズは1980年以来、一回も赤字を出していません。

同社はエアストリームの他にクロスロード、ハートランド、バイソン、ダッチメンなどのブランドを展開しています。マーケットシェアは全米No.1です。

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エアストリームは1932年にワーリー・バイアムによって考案されました。バイアムはオレゴン州生まれで、6歳のときに両親が離婚し、義父に育てられました。羊飼いだった義祖父に連れられ山で羊たちとキャンプしたことが彼のアウトドアへの興味のはじまりとなりました。

スタンフォード大学を出ると、富豪ヴァンダービルトの宣伝マンとなり、ハウツーものの雑誌に色々な記事を寄稿するようになりますが、その時彼が書いた「どうやってトレーラーを作る?」という記事が「間違いだらけだ」と読者から不評を買い、負けず嫌いのバイアムは「それじゃ自分で作ってみよう」とトレーラーの製作を始めます。これがエアストリームのはじまりです。


自動車産業の黎明期だろうが、インターネットの初期だろうが、およそブーム期には多くの参入者があります。バイアムが起業した当時、トレーラーはブームで、全米に400社もトレーラーのベンチャーがありました。その大部分は大恐慌と第二次世界大戦で淘汰されてしまいます。

バイアムはエアストリームのキャラバンを組み、南アフリカのケープタウンからアフリカ大陸を縦断し、エジプトのカイロまで、2万キロを走破し、メディアへの露出を演出します。

エアストリームはアルミニューム製のクラッシックな概観を頑なに守り、「大幅な改良を伴わないのであれば、姑息なモデルチェンジはしない」という方針を打ち出しました。



親会社のソア・インダストリーズは買収により色々なトレーラーの会社を傘下に入れたのですが、それらの企業はいずれも独特のブランド・アイデンティティがあるので、敢えて経営は統合せず、自由に経営させています。親会社の管理スタッフは40名に過ぎません。

同社の売上高の82%がエンジンの無いけん引式トレーラー、残りの18%が自走式RV(レクリエーショナル・ヴィークル)です。

無借金経営でバランスシート上には約3億ドルのキャッシュがあります。

今年のRV市場は全米RV協会によるとけん引式が29.4万台、自走式が4.2万台程度を見込んでいます。

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ソア・インダストリーズの現在の受注残は8.45億ドルで、前年比+37%です。

ディーラーが抱えているソア・インダストリーズの製品の在庫は5.1万台で、これは前年比+4.1%であり、適正です。

同社の業績で問題になるのは売上高に対してキャッシュフローが少ない点でしょう。

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【略号の説明】
DPS一株当り配当
EPS一株当り利益
CFPS一株当りキャッシュフロー
SPS一株当り売上高


事実、営業マージンは7.5%に過ぎません。

また上に見たようにRVのビジネスは極めて景気に左右されやすいので、同社株はBUY & HOLDには不向きです。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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