オバマ大統領が2016年から最低賃金を現行の$7.25から$10.10へ引き上げることを要求しています。これに応じて超党派の米国議会予算局(CBO)「最低賃金を$10.10に引き上げたら、何が起こる?」という事に関する研究報告書を提出しました。これは議会における今後の討論の叩き台を提供する目的で策定されました。

その報告内容は、賛成派、反対派どちらにとっても「ほら、俺の言った通りだろ」という補強材料を提供しています

まず最低賃金引き上げ賛成派にとって都合の良い研究結果としては$10.10に引き上げると新たに90万人が「貧困ライン」の上に引き上げられると予想されていることが挙げられます。これは貧困層(4,500万人)の2%に相当します。

なお最低賃金の引き上げは貧困層だけに恩恵をもたらすのではなく、既に「貧困ライン」より上の暮らしをしている家族にも恩恵をもたらします。別の言い方をすれば最低賃金引き上げで増えるおカネのうち、「貧困ライン」以下の暮らしをしている人々に回って来るおカネは19%だけだという事です。これは一例として家族と一緒に住んでいて学校を卒業したばかりの若者などが「貧困ライン」より上のグループに入っているからです。

現在、$7.25の最低賃金すら貰っていない労働者は全米に360万人居ると言われています。これは時給労働者の4.7%に相当します。このうち半数は16~24歳です。

次に最低賃金を引き上げ反対派にとっての支援材料としては$10.10に引き上げる事で新たに50万人の失業者を生み出すという試算も今回の報告書に入っている点です。この新しい失業者はマイノリティーなど就職戦線で一番弱者の立場にある人達に集中すると言われています。

所得階層別で実質所得へのインパクトを見ると:

貧困ライン以下の家族: +50億ドル
貧困ライン以上で貧困ライン×3以内の所得の家族: +120億ドル
貧困ライン×3以上、貧困ライン×6以下の所得の家族: +20億ドル
貧困ライン×6以上の所得の家族:-170億ドル


となります。すなわち「お金持ちから盗って、貧困層へ回す」という再分配がある程度働くわけです。しかし上のデータにもあるようにそれが最貧困層へ集中的に回るのではなく、貧困ラインより上の人達の方へより回ってしまう点が目を引きます。