日曜日のニューヨーク・タイムズに普段、ホワイトハウスを担当しているベテラン記者、ヘレン・クーパーによる、日米共同演習に関する長尺記事が掲載されました。

この日米共同演習は「アイアン・フィスト(鉄拳)」と呼ばれる演習で、2006年以降、米国海兵隊と自衛隊が行ってきた恒例の演習です。場所は米国最大級の海兵隊基地のひとつであるカリフォルニア州のキャンプ・ペンドルトンです。キャンプ・ペンドルトンは南カリフォルニアの風光明媚な町、カールスバッド(近くにレゴランドがあります)から、次の町、サンクレメンテにかけての太平洋に面した一帯にあります。

このへんはイメージ的にはサーファー映画、『ビッグ・ウェンズデー』などに出てきそうな、典型的な南カリフォルニアのビーチタウンで、旧国道101号線(U.S. Route 101)沿いにはサーフショップ、ハンバーガー・ジョイント、モーテル、アイスクリーム屋などが立ち並び、1970年代のクラッシックなフォード・マスタングの改造車などが走っています。ビーチは地元のサーファーが多く、ビキニのオネエチャンを鑑賞するのにもってこいの場所です。

あ、思わず話が自分の興味のある方へ脱線しました。(笑)

ニューヨーク・タイムズの記事に戻ると、この日米共同演習は一ヶ月に渡って行われており、2月24日がその最終日だそうです。「アイアン・フィスト」は離島奪還のための強襲揚陸を想定した訓練で、水陸両用車、ホバークラフト、小型ゴムボートなどを使用します。また上空では無人偵察機の他、ヒューイ、コブラなどのヘリコプターも上陸を支援しています。

海面すれすれの低空を飛ぶヘリコプターから自衛隊員が海に飛び込み、ゴムボートで上陸する、いわゆるヘローキャスト(Helocast)も行われたそうです。

2006年にこの共同演習が開始された当初、日本からの参加は25名だけでした。今年は250人が自衛隊から参加しているそうです。

今回の演習ではサンクレメンテ島での実弾演習、サンディエゴのコロナード海軍基地への夜間強襲などのプログラムが含まれていたそうです。ここは由緒正しいホテル・デル・コロナード(=まあ日本のホテルで喩えれば箱根富士屋ホテルみたいなもんです)から目と鼻の先に位置しており、ヘレン・クーパーは「ホテル・デル・コロナードの飾り立てたベランダでピンク色のシャンパンを傾けている宿泊客は、そんな隠密作戦が進行中とは夢にもおもわないだろう」とユーモアを交えて書いています。

なおこれら一連の訓練が尖閣を意識していることは明白で、第15海兵遠征部隊を率いるジョン・オニール中佐は「日本側は最近の尖閣情勢に鑑み、一層、訓練に身が入っている」と語ったそうです。

実際、米太平洋艦隊情報作戦局のジェームズ・ファネル大佐は二週間ほど前にサンディエゴのシンポジウムで「中国は電撃作戦(Short, sharp war)を東シナ海で行うための特別な訓練を実施している」と述べたばかりです。

アメリカはこうした共同演習を行う一方で、これまで疎遠だった米軍と中国軍との間のコミュニケーションを改善するためレイ・オディエルノ米陸軍参謀長が北京を訪問し「冷戦下での米ソの軍隊の交流と比べても遥かに弱い」両国の軍隊の関係を改善し「両者の立場の違いを建設的にマネージする」ための正式な対話を開始する糸口を模索しはじめました。