株式投資で成功するやり方というのは、一種類とは限りません。

もちろん「オレはもっぱらチャートだけでトレードすると決めた」とか「バリュー投資以外は、すべて邪道だ」と皆さんが勝手に決めるのは、個人の自由です。

でも「このやり方が、他のやり方より常に優れている」ということは、簡単に結論付けにくいと思います。

たとえば有名な投資家にジョージ・ソロスという人が居ます。彼はグローバル・マクロという投資戦略を使っています。

グローバル・マクロでは、まず世界経済の中の不均衡を探し、その不均衡からくるストレスがたまっている場所を観察します。

そしてその不均衡が破れ、大きな訂正が入るときを狙ってトレードするわけです。

言い換えれば、ゲームのルールが変わる瞬間をめがけてトレードするやり方なのです。

一方、ウォーレン・バフェットバリュー投資の大御所です。

バリュー投資では、健全な企業が割安になっているときに愚直に買いに入り、じっくり長期で成果がでるのを待ちます。

つまりこれらの二つの方法は、似ても似つかぬアプローチと言えるでしょう。

ソロスとバフェットは、両方とも素晴らしい成績を残した投資家です。しかしそのアプローチは真逆と言っても過言ではないほど大きく異なっています。

若し世の中に正解がひとつしかないのなら、ソロスとバフェットの両方が正しいということは、ありえない筈です。

でも実際には両方が成功している。

このことからも投資にはいろいろなアプローチがあってよいということがわかるわけです。これが「この方法以外は、邪道だ」というドグマ的な世界観が間違っていると僕が考える理由です。

しかし皆さんがあるスタイルを試すとき、そのスタイルに要求される基本ルールを無視して投資することは拙いです。

たとえば「バリュー投資だ」と言いながら、せかせかトレードする……これは言行不一致です。

自分があるスタイルを選んだら、そのスタイルを成功理に実行するために必要な、最低限のルールを守る必要があります。

投資スタイルはツール(道具)に他なりません。それが道具である以上、道具が想定する意匠に沿った使われ方が大事になるのです。

たとえばサタデーナイト・スペシャルと呼ばれるハンドガンがあります。オモチャのように小さい、ハンドバッグに入る、女性の護身用などに使われる短銃です。

若しあなたがサタデーナイト・スペシャルを有効に使いこなそうと思うのであれば、敵が100m先に居るのに撃ち始めてはいけません。

至近距離まで相手をおびき寄せておいて相手が気を許した隙に「ズドン」とやらないと効果は無いのです。

株もこれと同じで、ハンドガンなのに100mも先からめくらめっぽう撃ちまくったり、逆にエレベーターに乗り合わせた敵と対峙する際、銃身の長いスナイパー・ライフルを使おうと思っても上手く行かないのです。

バリュー投資なのにちゃんと自分が投資しようとする株が「お買い得」になっているかどうかチェックしない……モメンタム投資なのにダラダラ下がり始めたポジションを未練がましく抱き続ける、、、

これらは全て、そのスタイルを成功裡に運用する掟を無視した、ダメなやり方なのです。


(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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