日本がアベノミクスを開始したとき、日銀はアベノミクスが主に三つの経路から金融システムに働きかけると予想していました。

1.長期金利の更なる下落(金利チャンネル)
2.期待インフレ率の上昇(期待チャンネル)
3.国債からその他資産へのシフト(ポートフォリオ・リバランス・チャンネル)

国際通貨基金(IMF)は最新の国際金融安定性報告書(GFSR)の中の囲み記事で、この日銀の想定が正しかったかどうか検証しています。

IMFは「金利チャンネル、期待チャンネルでの調整は上手く進行中だが、ポートフォリオ・リバランス・チャンネルでの調整は、遅々として進んでいない」と指摘しています。

先ず金利チャンネルに関しては、米国、英国をはじめとする先進国の長期金利がじり高する中で日本の10年債の金利は低い水準で推移しています。つまり「長期金利の更なる下落」の目標は達成できているわけです。

次に期待チャンネルでは2014~2016年にかけてのインフレ予想が2.092%と上昇してきています。したがって、これも大体合格です。但し2016~2018年にかけてのインフレ予想は1.04%であり、未だ日銀のターゲットである2%に届いていません。

三番目のポートフォリオ・リバランス・チャンネルでは日銀による国債買い入れで新しい国債の買い手が登場したことで銀行が国債の売り手に回りました。

投手主体別国債買い入れ額

都銀の資産ポートフォリオに占める国債の比率が低下したことは、金利リスクの低減につながるとIMFは評価しています。

日本の銀行の資産に占める国債比率

その反面、銀行は超過準備を積み上げています。これは銀行の収益力の足かせになるとIMFは指摘しています。

超過準備

ポートフォリオを、これまでのJGB偏重型からよりバランスの取れたものにするにあたって、海外資産が増えているか? という視点から検証すれば国内投資先を偏重する、いわゆるホームバイアスは余り改善していないと結論付けています。

累積対外ポートフォリオ投資


融資成長率は改善基調にあります。

融資成長率

また邦銀は海外における融資を増やしており、その少なからぬ部分はタイランドやインドネシアにおける事業拡張です。

日本の銀行の海外融資・預金

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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