まあウォールストリート・ジャーナルも、突き詰めて言えばウォール街の御用新聞ですな(笑)

アルゼンチンがNY地裁の決めた支払い猶予期限である7月30日までに一部アクティビスト投資家に対し満額の支払いをしなかったために選択的債務不履行に陥りました。この問題に関するウォールストリート・ジャーナルを含むマスゴミの書き方は、フェアじゃないと思います。

まず「アルゼンチンがデフォルトした」という書き方……これは不正確。

なぜならアルゼンチンは93%の投資家と、すでに示談成立しており、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン銀行に設定されているエスクロー口座にすでに5.39億ドルの資金を払い込み済みであり、支払いの責任は全うしているからです。

エスクロー口座というのはセキュアーに当事者間で不動産取引や金融取引を実行するために考え出された、金融機関を介在させた、取引仕法です。

たとえばカリフォルニアで家を買うと、まずダウンペイメント(手付金)を買い手はエスクロー口座に払い込まないといけません。これは「おれ、ちゃんとカネ持っているし、取引の途中で逃げたりしません」という宣言に他ならないのです。

M&Aで「本当に、買うの?」という疑惑が一般投資家に生じるといけないので、買い手が「これは、ナンチャッテ買収宣言ではありません。本当に買いたいと思ってマス」ということを意思表示するために、ブレイクアップ・フィー(破談違約金)を約束する場合も多いですが、そのお金は、ちゃんとエスクロー口座に積まれます。

つまり今回、アルゼンチン政府が5.39億ドルをすでにエスクロー口座に積んでいるということは、「赤ちゃんポスト」に赤ん坊を投函したのと同じ状態であり、もう取り返しは出来ない状態なのです。


それではなぜエスクロー口座に積んであるキャッシュが93%の、支払いを待っている投資家の許へ届いてないか? と言えば、それはNY地裁の判事が「アクティビスト投資家の訴えを認め、支払いを差し止める」という差し止め請求を出したからです。

つまり支払いをしていないのは、アルゼンチン政府ではなく、NY地裁です。この箇所をマスゴミはきちんと説明していない(笑)

そもそも今回のエスクロー口座を使った支払いは、2001年の通貨危機の処理として行われる取引です。あのとき、約1,000億ドルものアルゼンチン国債が、通貨暴落で利払いが滞りました。

あっという間にアルゼンチン政府が「ドカ貧」になったので、オケラで、お金が払えないことは、アルゼンチン政府はもちろん、投資家だって皆、知っています。(現在のアルゼンチンの外貨準備は290億ドルです)

ただ、1%の投資家、具体的にはエリオット・マネージメントというヘッジファンドなどが「ちょっと待て、アルゼンチン政府の発行した債券の中には、ニューヨーク法に準拠した発行分も一部混じっているよね? これって……ひょっとしてウォール街のおひざもとであるニューヨーク地裁で争えば、勝訴できるんでね?」というヒラメキを得て(笑)、二束三文に価値が暴落した紙切れ同前のアルゼンチン国債のうち、ニューヨーク法の下で発行された回の債券だけを買い集め、裁判所に駆け込んだというわけです。

するとですよ……

大部分の投資家はもうアルゼンチンとは和解して、「じゃ額面100のところ、アンタが払える30だけでも構わないから、これでシャンシャンしよ。とにかく、エスクロー口座にキャッシュ積んでよ」という風に合意に至った後であり、あとはこの赤ちゃんポストからベビーを受け取るだけになっていたのに、意地悪な看護婦さんが「ちょっと待て! お前には渡さん」と言い張っている状況なわけです。

これは明らかにエリオット・マネージメントという傲慢なヘッジファンドだけを利するミス・トライアルであり、いわば高い弁護士を雇ったヘッジファンド側の、「裁判テクの勝利」なのです。

アフォな状況に陥っているのはアメリカのリーガルシステムの方であり、アルゼンチンではありません。

そこんとこ、ヨロシク。