ウクライナのポロシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が停戦に向けてのアプローチに関し、基本線で合意に達したと、ウクライナ側から発表がありました。

ロシアは「停戦」という表現には合意できないと後から発表しました。

そのココロは、そもそもロシアはウクライナと戦争していないのだから「停戦」という表現はおかしいということです。これは親ロシア分離主義者への影での支援にロシアが関与してきたことの否定という意味では既定路線のコメントです。

今回の話し合いに先立ち、ロシアは大隊をルハンスクに派遣しました。つまり「いま停戦しないと、エスカレートするよ」というシグナルを送ったわけです。これは駆け引きの常套手段であり、その面でも腑に落ちます。

ウクライナの立場から現在の状況を考えると、7月以降、優勢だった東ウクライナ戦線はこのところこう着する様相を呈しており、ルハンスク、ドネツクの両方の町を包囲したものの、あまりにウクライナ軍が薄く広がり過ぎているせいで、包囲網がしばしば破られ、逆にウクライナ軍が取り囲まれるという場面も出ています。

また仮に東ウクライナを制圧したところで、そこの住民はロシア系が多いので、反感を買うだろうし、治安の維持コストも高いです。

そういう意味では言語、エスニシティの線に沿ってすっきり線を引きなおした方がおさまりが良いです。

それは既にロシアに併合されているクリミアと、ロシア系住民が多く、ロシアに兵器を供給している軍需産業なども存在する東ウクライナは、この際、ロシアが取ることを意味します。

一方、ウクライナ人が過半数を占める西ウクライナはEUへの傾斜を強めながら東ウクライナと決別するというわけです。

その意味では、今回、そういう線に落ち着こうとしていることは、最初からじゅうぶん予想できた事です。

停戦の、相場に与える影響はどうでしょうか?

若し停戦が成立すれば、EUのロシアに対する経済制裁が解除されるという期待が生まれます。経済制裁はロシアを苦しめますが、ドイツの中小メーカーのような輸出企業も打撃を受けています。

また地政学リスクが欧州の経営者のマインドに圧し掛かっていたので、ビジネス・センチメントの改善が見込まれます。

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このことは短期的に売り込まれているユーロが反発しやすくなることを意味します。

ドイツ株、ロシア株なども反発することが予想されます。

世界全体の成長という視点からは停戦は成長加速要因です。すると米国の連邦準備制度理事会は、いよいよ重い腰を上げて利上げへのロードマップを示す必要が出ます。