国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)を発表しました。それによると先進国と新興国の両方で景気に停滞感が増しており、十分な雇用を創造出来ない状態が続いています。

リーマンショック後の景気回復局面は遅々としており、インフレが低すぎる、株式市場が楽観的シナリオを織り込み過ぎているなどの懸念があります。

IMFの考える2014年のグローバルのGDP成長は+3.3%です。2015年は+3.8%です。これらの数字だけを見るとまずまずの状態のように見えるのですが、個々の国や地域における経済の動向には格差があり、地域によってはかなり憂慮すべき展開になっています。

欧州の経済成長は、マイナスにこそならないものの、限りなくゼロ成長に近い、不満足な状況が続くと見られています。2014年は+0.8%、2015年は+1.3%を見込んでいます。

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今回、日本は下方修正幅が先進国で最も大きかったです。

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国別ではドイツ経済はまずまずですが、フランス経済は悪いです。スペインは改善基調ですがイタリアは愚図愚図しています。

アメリカでは政府支出の削減が一巡したことと増税が一巡したことで、成長の頭を抑える要因が取れた格好になっています。

世界全体で見ると過去3年連続して先進国のGDP成長予想は小刻みな下方修正が続いています。また下方修正幅では新興国の方がここへきて大きくなっています。

この調子でいけば2000年代前半のようなグローバルでの成長率に戻って行くことはとてもムリです。

IMFはこうしたことを踏まえて、政府の借入コストが安いこともあり、この際、公共投資を増やしては? という政策提言をしています。



下は世界の製造業購買担当者指数です。

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先進国と新興国に分けてみると、下のグラフのようになります。

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次は鉱工業生産です。

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これも同様に先進国と新興国に分けてみました。

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最後は世界の貿易量です。

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