調査会社ショッパートラックによると感謝祭(先週木曜日)とブラック・フライデー(同金曜日)を合計した実店舗(brick-and-mortar retail stores)売上高は122.9億ドルでした。これは去年の実績123.5億ドルより-0.5%でした。

ショッパートラックは小売業に対するコンサルタント会社で、とりわけショッピングモールの来店客分析に定評があります。同社は1993年に創業され、全米のショッピングモールに監視カメラなど7万個のデバイスを設置し、来店客の数、人の流れなどをデータ化し、それをストア戦略に役立てるアドバイスをしています。

そのデータ収集力から考えて、ショッパートラックの数値はかなり正確にショッピングモールの状況をリアルタイムで計測出来ていると思われます。

さて、前年比-0.5%というスタートは、一見するととても落胆すべき内容という印象を与えます。しかしこれは取扱注意です。

なぜなら今年は例年にも増してドラマチックに消費者のクリスマス商戦期間の消費行動に変化が出ているからです。

従来のように「ドアバスター(入口をぶち破る)」と呼ばれる、ブラック・フライデーの深夜午前零時の開店セールは次第に「過去のもの」になりつつあります。なぜなら消費者は寒さを我慢して真夜中の開店前にストア前に並んでも、必ずしも最も安いバーゲンにありつくことは出来ないことを、手にしたスマホで調べた他店での価格を調べることで発見しつつあるからです。

ブラック・フライデーの大安売りに殺到する来店客同士で争いが起き、死人が出ることも珍しくありません。ところがそうまでしてバーゲンを目指しても、自分が購入した価格が最安値でなかったと知ったら、消費者としてはしらけるわけです。


世界最大の小売店であるウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)は、今年からブラック・フライデーの大安売りを廃止しました。その代り、クリスマス商戦期間中、来店した顧客がスマホでウォルマートより安く商品が売られているのを発見したら、その場でウォルマートも価格をマッチするというキャンペーンを展開しています。ウォルマートは他のどの小売店より大量に仕入れる関係で、仕入コストや店舗での品揃えでは圧倒的に有利なわけです。つまりスマホで価格がコモディタイズされてしまえば、最もローコストのウォルマートが究極的な勝者になるというシンプルなロジックに従っているわけです。

これまでは消費者はまずどこかの店に行き、そこで商品を一瞥してからスマホでもっと安い店を探すという、いわゆるショールーミング(showrooming)が流行っていました。しかし今年からはそもそもどこかの店に出向くこともせず、ウェブで比較してオシマイというウェブルーミング(Webrooming)が新しい流行になっているのです。

ウェブルーミングが登場すると、当然、ただ闇雲にショッピングモールに駆けつけるという従来の慣習は廃れます。

実際、感謝祭とブラック・フライデーのオンライン販売高は急成長していると報じられています。

月曜日はいわゆるサイバー・マンデーで、一年のうち最もオンライン販売高が多くなる日として知られています。その結果を見届けた上で判断しても遅くないように思います。