下は日本、アメリカ、EUの家計の資産構成です。

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アメリカやヨーロッパに比べて、日本人は株や投資信託を余り持っていないことがわかります。

なぜ日本人は株が嫌いなのでしょうか?

そのひとつの理由は日本人の完璧志向にあると思います。

それ自体はちっとも悪いことじゃないし、パーフェクトを目指し地味な努力を重ねる日本人の性格は、日本と言う国の発展に途方もなくプラスに働いてきたと思います。

几帳面な日本人の性格は、我々の生活のあらゆる面に出ています。

例えば山手線は秒刻みでホームに滑り込んできます。通勤電車が数分遅れることなど日常茶飯事のアメリカで育ったワイフは「Amazing!」を連発していました。

そんな日本ですからパーフェクトということに対するこだわりも極めて強いです。ものづくりもパーフェクト、おもてなしもパーフェクト、人生もパーフェクト……それが日本人の美意識なのです。

だから「こだわり」という言葉も、例えば広告宣伝の文句で「こだわりの一品」という風に、通常、ポジティブな意味合いで使われます。

そこへいくと株なんてものはチャランポランもいいとこ。およそこの世にこれほどアテにならない、やくざな存在はありません。

折角、まじめに調査して、大丈夫そうなものを慎重に選んだにもかかわらず、買った株が上がらない……そんなことは株の世界ではザラにあります。

だからみんな株が嫌いになるわけです。

そういう僕も、大学を出て最初に入ったのは建設会社だったので、(土台が曲がっていたら、ビルはちゃんと立たない)式の職業観を強く持っていました。だから証券会社に転職したとき、自分の意のままにならない株式市場という存在を、ずいぶん憎みました。

ところが……です。

人生を歩んでくると、どんなに(理想は、こうでなければいけない)と強く思っていても、現実には自分の計画通りに物事が運ばないことも多いことがわかってきます。

志望した大学に入れなかった。

就活で本命の会社からお祈りされてしまった。

意中の女性にプロポーズしたけどあっさりふられた。

子供が親の願う進路を歩まない……

などなど、現実は自分の理想、ないしはこだわりを打ち砕く、残念な展開の連続です。

もし残念な展開になったら……そのときは頭を切り替える必要があります。

ところがこだわりが強い分だけ日本人は頭の切り替えが苦手です。

信念が強すぎて、視野狭窄に陥り、客観的に自分を見ることが出来なくなってしまう。そして早期に軌道修正するチャンスを逸してしまう、、、これが優秀であるがゆえに陥りやすい、日本人の欠点ではないでしょうか?

その点、株は、あっちの方向、こっちの方向と道草し、何度も方角を間違えながら、結局、大体実体を反映した方向へ向かってゆきます。それがprice discovery(価格発見)と呼ばれるプロセスなのです。

このチャランポランさと折り合いをつけ、そのポテンシャルをうまく利用できれば、(想定外の展開も、また愉し)という心の余裕が出来ますし、敷かれたレールの上を、きっちりと走るだけの人生に、ちょいとスパイスを効かせることが出来るというわけです。