アメリカの主要株価指数の中で、ナスダック総合指数だけが未だ過去の最高値を更新していません。その理由は1990年代後半に壮大なバブル相場があったからです。

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ナスダック総合指数の引け値ベースでの最高値は2000年3月10日の5,048.62でした。金曜日のナスダック総合指数の引け値が4,780.76なので、あと267.86ポイント、パーセンテージにして5.6%に迫っているわけです。

10月の安値から現在までにナスダック総合指数は565ポイント上昇しました。これは率にして13.4%です。

してみると年内に最高値を更新するのはちょっと無理のように思います。ただ2015年の上半期のどこかでナスダック総合指数が過去最高値を更新するのは時間の問題のように思えます。

若しナスダック総合指数が最高値を更新したら、たぶん「今の株価のバリュエーションはバブルか?」という疑問がマスコミを賑わせるでしょう。

僕の考えでは現在のナスダックはバブル相場とは程遠いと思います。

まずドットコム・ブームがどのくらい凄かったかを指数で振り返ると、ナスダック銘柄のうち最も時価総額の大きい主要100銘柄で構成されるナスダック100指数の年間上昇率は下のグラフのようになっています。

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1991年にアメリカが湾岸戦争に勝利した後、テクノロジー株の大相場があったのですが、それ以降もナスダックは年間パフォーマンスでマイナスを記録することなく1995年を迎えます。

この年は最初のインターネット・ブラウザーであるネットスケープ(Netscape)がIPOされ、人気を博しました。一般に、このイベントがドットコム・ブームのはじまりであると見做されています。


その後の5年間に渡ってナスダックは猛然とラリーしています。

翻ってここ数年のナスダックのパフォーマンスを見ると、リーマンショック後の暴落の反動で2009年のパフォーマンスが良かったことを除けば、いずれも「異常な」上昇率ではありません。

因みに現在のナスダック100指数の株価収益率はちょうど20倍程度です。1999年のシスコ・システムズのPERが62.2倍(2013年は16.9倍)、マイクロソフトが49.8倍(2013年は14倍)だったことを考えると、リーズナブルだと思います。

今週号の『バロンズ』によると2000年の時点でドットコム株は280社あり(現在は80社)それらの企業は全体で年間50.7億ドルの赤字を出していたそうです。

また当時はベンチャー・キャピタルから資金調達した企業のバーン・レート(キャッシュをどれだけの速さで使い果たしているか?)から見て、1年以内にキャッシュが尽きる企業が51社もありましたが、現在は5社のみです。

テクノロジーIPO数も当時と現在では比較になりません。

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結論的には、ナスダック総合指数が過去最高値を更新したからといって次のバブル崩壊を恐れる必要など、どこにもないのです。

なにせ今から14年も昔の話なので、もう当時の雰囲気を覚えていない読者も多いと思います。

そこでドットコム・ブームがどんな具合だったのか? それを投資銀行の目線から見た小説を以前に書いたので、それを紹介しておきます。企業名や人の名前は一部変えてあるけれど、そこに書かれていることは全て実際に起こったことをベースにしています。