ニューヨーク・タイムズによると東ウクライナの停戦が破られ、ドネツク州マリウポリ他各地で再び戦闘がはじまっているそうです。砲撃は一般市民をも巻き込んでおり、犠牲者が増えています。雪道を戦車が移動しており、国籍がわからない緑の戦闘服を着た兵士が沿道の市民に手を振りながら前線に向かっているそうです。

ストラトフォアは今回の砲撃がBM-21グラドによって行われていることからロシアが背後に居ることは間違いないとしています。またロシアは、ちょっとやそっとのことではBM-21を使用しなし、普通、ロシアは大攻勢の直前にロケットによる砲撃を降らせるのが通例であることから、これが大規模な作戦の予兆かもしれないとしています。

ロシアは既に先日、停戦ライン上にあるドネツク空港を無力化したばかりです。若しロシアが地上戦の火ぶたを切るのであれば、ウクライナ軍の空からの支援を封じる必要があります。その意味では大規模作戦の準備としてドネツク空港を無力化したのは腑に落ちます。

現在、ロシアはクリミア半島を領有していますが、ここはウクライナ本土との接続を絶たれると孤立しやすいです。従ってロシアとしては現在反ウクライナ勢力がおさえている東ウクライナ地方での支配を、ずっと西のクリミア半島まで伸ばし、この一帯すべてを掌中に入れたいところです。

さて、今日の展開は投資家からすると少し予想外でした。なぜなら西側の経済制裁と原油価格の暴落でロシア経済は弱り切っており、プーチン大統領にウクライナでの紛争を継続するメリットは無いと思われてきたからです。

経済制裁はロシアを苦しめますが、それと同時にロシアに工作機械その他の製品を輸出してきたドイツをも苦しめます。だから「停戦→経済制裁解除」という希望的な観測を多くの市場参加者が持っていたわけです。

ところがプーチン大統領は一転してウクライナでの強硬姿勢を取ったわけです。

この背景には(停戦してもEUは経済制裁を解除してくれなかった。ましてや原油価格の暴落でロシア経済はもうどうにもならない。それならばこの際、戦争で国民の民心をひとつにまとめた方が得ではないか?)というプーチン大統領の計算が働いていると思います。

これがマーケットに与える影響ですが、まず折角、上向き始めた欧州の経営者のセンチメントは再び暗転することが懸念されます。

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またロシア経済はいよいよ背水の陣になるので、98年のデフォルトに匹敵する、大きな混乱がおきるリスクも想定しておく必要があるでしょう。