ブランドの語源は家畜のオーナーを識別するため焼印を付けたところから来ています。この習慣は、古代から存在し、所有権の確認の他に焼印をすることで家畜を疫病など「悪い霊がもたらす災禍から守る」という儀式の意味もあったそうです。下はブランディング・アイアンの例で、これを熱して入印するわけです。

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(出典:ウィキペディア)

その後、ブランドは単に家畜の識別だけではなく、商品の差別化のためのトレードマークなどを指す、より広義な概念を指すようになりました。世界で最初のトレードマークは英国のBassの赤い三角のロゴだと言われています。

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(出典:ウィキペディア)

こんにちブランドは我々の周りに溢れています。Market Hackで言及する銘柄も、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)、フェイスブック(FB)、スターバックス(SBUX)、ディズニー(DIS)など、ブランドとして認知度の高い企業が多いです。

投資の見地から、なぜブランドが大事なのでしょうか?

それはブランドが確立している企業は差別化がしっかり出来ており、価格で競争しなくても、プレミアム価格を維持できるからです。

他社より高い価格を維持できる、あるいは二つの商品やサービスが消費者の眼前に並んだ時、知っているブランドの方が消費者に選ばれやすいということは、マージンや売上高の維持の際、その企業が競争優位に立つことを意味します。

実際、認知度の高いブランドを持っている企業のマージンは、一般的に言って、同業競合他社よりも高いです。



皆さんは毎日の生活の中でブランドに囲まれて暮らしています。たとえばスマホはアップルのiPhone、ラップトップはMacBook、コーヒーはスターバックス……といった具合です。

ユーザーの目線、ユーザーの立場から、われわれはその商品や企業のことを、自分が考えている以上に、良く理解しています。

このようなユーザー目線で得られる洞察は、たいへん貴重だし、投資の原点です

もっと核心に斬り込んだ言い方をすれば、自分が信奉し、愛用しているブランドの製品やサービスを提供している企業の株を買うことで、投資の第一歩を踏み出す……というアプローチは、あながち間違っていないということです。

有名な投資家、ウォーレン・バフェットも、オール・アメリカン・ブランドが大好きです。具体的にはコカコーラ、ウエルズファーゴ、シーズ・キャンディ、デイリークインなどです。

バフェットの信奉するバリュー投資で言うところの「良い企業」とは、「ワイド・モート(wide moat)」を持っている企業を指します。モートとは中世の城の堀のことで、攻城戦の際、攻めにくいわけです。つまり高い防御力を持った企業と言えます。具体的なワイド・モートの条件を列挙すると:

事業規模がバカでかいこと
市場占有率が圧倒的であること
構造的競争優位
ライバルが太刀打ちできないブランドをもっていること
ネットワーク効果
ユーザーや顧客にとって、乗り換えコストが大きい


などになります。このリストからも判るとおり、「ブランドさえあれば、後は無くても結構!」というわけではありません。でもブランドが、「良い企業」を構成するひとつの要素であることだけは確かです。

ただバフェットは80歳を超えた老人なので、世代が違うし、自分と一緒に育ってきたブランドも、我々が日頃、愛着を持っているブランドとは、ちょっとズレている気もします。

その場合、バフェットの買っているブランドを優先するのではなく、迷わずあなた自身の愛用するブランドを選ぶべきだと、僕は考えます。

なぜならブランドにも人間と同様、ライフサイクルがあり、ケアを怠るとSONYのように朽ちてしまうからです。(なおSONYの株価が最近堅調なのは、あくまでもドル高や事業整理が原因であり、ブランドの再興とは、なんらカンケーないと思います)

このように「投資の入り口」として、まず自分の愛しているブランドからはじめるというアプローチは、かなり有効だと僕は考えています。

皆さんにつけて欲しい習慣とは、そういう自分の「直感」を、必ず数字で確認することです。

投資の世界は、数字が全てで、僕も日頃から数字、数字、数字と耳にタコができるくらい言っています。Market Hackで僕が皆さんに見て欲しいと思っているものは、論評よりも経済指標や決算などのデータです。

でも「なぜ良い数字になっているのか?」という点に思いを巡らせた場合、その背後にあるのは、ブランド力やユーザーからの根強い支持であることが多いのです。