ALTR

INTC

インテル(ティッカーシンボル:INTC)がアルテラ(ティッカーシンボル:ALTR)と買収交渉を進めています。この話し合いは成立するかもしれないし、物別れに終わるかも知れません。

インテルはパソコンの心臓部となるマイクロプロセッサーを作っています。アルテラはフィールド・プログラマブル・デバイセズ(PLD)と呼ばれる、ソフトウェアで機能を定義できる半導体を作っています。

PLDは喩えて言えば録音していない生テープみたいなものです。それに後日、ちょうど音楽を録音する如くソフトウェアで、特定の役目を規定することが出来るわけです。

このように当初は汎用性の高い標準的な回路をハードワイヤーする関係で、PLDは、しばしば「プロセス・ドライバー」と言って、最先端の線幅を持つ、製造面で難易度の高いチップを大量生産する際、その「実験台」として真っ先に生産されるという伝統を持っています。

アルテラや、そのライバルであるザイリンクス(XLNX)は、自社で工場を持たず、アジアのファウンドリーにその生産を委託してきました。

実はインテルはこのファウンドリーのビジネスに遅れ馳せながら参入しようとしています。インテルのプロセス・テクノロジー(=工場での生産技術・ノウハウのこと)は業界でも一二を争います。しかしファウンドリーとして成功するためには技術力が高いだけでは駄目で、サービス面やマスクの交換の効率など、操業面での効率も重要になってきます。インテルの場合、X86シリーズの昔から、同じチップを、トコロテン式に長々と生産し、その過程でじっくりと歩留りを向上してゆくという仕事の進め方が骨の髄まで沁み込んでいます。

だから顧客のデザインに合わせてコロコロと生産ラインを変えるというのは同社の美意識と真っ向から対立する価値観なのです。インテルが、その優れたプロセス技術にもかかわらずファウンドリーとしては余り成功しないだろうと世界の半導体業界関係者から見られてきた理由は、そこにあります。

その点、PLDはマイクロプロセッサー同様、同じデザインの回路を、沢山作り置きするタイプの生産になります。だからインテルのファウンドリーのビジネスを推進し、実績作りをするには相性が良いと見ることも出来ます。



通常、ネットワーク機器などの新しいデバイスを設計する際、開発の時間を短縮するために、出来合いのPLDを使い、ソフトウェアで回路を規定することで間に合わせることをします。その後、その製品が上手く軌道にのったら、それを順次ASIC(エーシック)と呼ばれる、最初から特定の役割を回路に焼き込んだ半導体に切り替えてゆきます。

するとインテルがPLDの会社を買収するということは、ソフトウェアのオーサー・ツールを利用している顧客企業におけるエンジニアのコミュニティとの商売関係を、一気に手に入れることも意味します。これは最新のテクノロジーの援用のされ方を観察するのに好都合なポジションです。

ただPLDはその性格上、図体が大きく、消費電力も多目なので、モバイル・デバイスなどには向きません。その意味では今回のインテルのアルテラ買収は、「インテルのモバイル戦略の行き詰まりを自ら認め、方向転換している」と受け止められても仕方ない気がします。