ネット企業の決算が出始めています。これまでに決算発表があったのはフェイスブック(ティッカーシンボル:FB)、グーグル(ティッカーシンボル:GOOGL)、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)などです。

この3社の中で最も内容の良い決算を出した企業はアマゾンでした。それについては別のところで記事にしたのでそれを読んでください。

アマゾンのAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)部門の強さにウォール街が唖然!

一番悪い決算を出したのはグーグルでした。EPSは予想$6.61に対し$6.57、売上高は予想174.9億ドルに対し172.6億ドルと、どちらも予想に届きませんでした。このところグーグルの決算は、すんなり数字が予想に達したことがなく、必ずケチがついています

だんだん、まともな決算が出せない、情けない会社に成り下がっているというわけ。

これは、偶然なのでしょうか?

僕は偶然だとは思いません。

それを説明します。

まずグーグルの今期の売上高成長率は前年比+11.9%でした。これはウェブ企業としてちょっと低成長すぎます。

ところがR&Dは前年比+29.5%で、マーケティング・コストは+19%で増えているのです。

つまり費用の方が売上高の伸びよりずっと高いのです。

だからグーグルの利幅は、いま、つるべ落としに悪くなっています。

昔は財務的にピカピカの会社だったのに、このペースでいけばフツーの会社に成り下がる日も遠くありません。

クリック単価は前年比-7%で、これはもうずっと下がり続けています。

つまりグーグルの成長率が、ある日突然、再加速する…なんてシナリオは、残念ながら無いと断言できるのです。

YouTubeの動画広告ですか?

アメリカの投資週刊紙「バロンズ」は、今後YouTube広告が増えるのでグーグルは買いだ!という記事を出したけど、それ以降も同社株は愚図愚図した展開が続いています。

僕はYouTube広告は期待したほどの成果を出さないと思います。

まずYouTubeの再生回数は1日あたり65億回です。これは凄い数字なのだけれど、いまフェイスブックがタイムライン上で動画を再生することを始めていて、そちらは去年9月の1日当たり10億回から現在は40億回へと急増しています。つまり今年中にYouTubeはフェイスブックに動画再生回数で負けるということ。

つぎに動画広告は検索広告より単価が低い点も注意すべきです。

人々が、ある商品やサービスを検索して、広告をクリックする場合は、初めからそれを探しているという動機があるので、クリックが購買につながる確率は高いです。だから広告主は高いレートを喜んで払うわけです。

しかし動画広告はTVのコマーシャル同様、特に自分が探しても居ない商品が表示される関係で、購買につながることは稀です。つまり広告主がアドダラーの効果測定をすると、馬鹿馬鹿しくて高いレートを動画広告に払っていられないというわけ。

グーグルはこれまで余りに本業が儲かり過ぎたので、いろいろカネにならないことに手を出し過ぎです。そろそろキッチリ締めてかからないとダメな会社に成り下がる気がします。

次にフェイスブックですが、第1四半期のEPSは予想40¢に対し42¢でした。これは良いのですが売上高が予想35.6億ドルに対し35.4億ドルとショートしました。

課金戦略が「すこぶる上手く行っている」はずのフェイスブックにしては拍子抜けする業績です。

広告収入の成長率は+46%です。これは今後、どんどん鈍化すると予想されます。一方、営業費用は+57%で成長しています。つまりグーグル同様、フェイスブックも費用の方が売上高より遥かに高い伸びを示しているので、マージンがどんどん下がり始めているのです。

今期の営業マージンは52%でした。かつてはこの数字は60%を軽く超えていたので、最近のトレンドには不吉なものを感じます。

思うにグーグルにしてもフェイスブックにしてもマーケティング費用などを絞り込めない理由はこれらの企業間でのアドダラーの奪い合いが熾烈になっているからではないでしょうか? 

幸い、今期のフェイスブックはDAUなどのユーザー統計が予想を上回ったので株価的には大惨事になりませんでした。でもマネタイゼーションのモメンタムは、既にピークを越えたと思います。