ニューヨーク・タイムズによると米国の法律事務所に就職するロースクールを出たばかりの学生の給与は1,922万円なのだそうです。

この記事はNALP(National Association for Law Placement)という法曹界の新人を支援する協会が集計したデータを基にしています。

ただ全国どこで採用されても初任給が1,922万円というわけではなく、勤務地や法律事務所の規模で大きな差が出ます。

ボストン、シカゴ、ロスアンゼルス、ニューヨーク、ワシントンDCなどの大きなマーケットでは1,922万円というのが相場になっているけれど、地方都市ではそれよりかなり安いそうです。

さて、ここからは僕の意見ですが、初任給1,922万円と言うと素晴らしい感じがするけれど、実際には弁護士のキャリアはリスクに溢れています。

まずロースクールに通うと3年間で2,700万円程度の費用(授業料、寮費などの合計)がかかります。そのローンを返済してゆかなければいけません。

また初任給1,922万円を「ポン!」と払ってくれる弁護士事務所は、そう沢山あるわけではなく、エリート・ローファームに入るには熾烈な競争をくぐり抜ける必要があります。いや、もっと有り体に言えば、イェール・ロースクール、ハーバード・ロースクール、コロンビア・ロースクールなどの、ごく一握りのトップ・ロースクールの出身でないと、そもそも面接すらしてくれません。

次に大手法律事務所は「up or out」というポリシーを持っており、仕事が出来てパートナーに抜擢されなければ、自動的にクビにされます。

お荷物社員だけど、勤続年数が長いので、いちおう飼っておく……そういう発想は、無いのです。

大手法律事務所をクビになった社員は、ワンランク下の法律事務所に転職します。そこでは当然、お給料は下がるわけです。

リーマンショック以降、米国の法曹界は大きな変化の波にあらわれています。具体的には、ちょうど医療の世界に「マネージドケア」という概念があるように、特別な案件を除き、ルーチンのリーガルワークでは、なるべく安上がりなサービスで済ませてしまおうという動きが出ているわけです。つまり「法律事務所のユナイテッドヘルスケア化」です。これが法律事務所の給与に大きなプレッシャーをもたらしています。

今後、弁護士の仕事のかなりの部分はソフトウェアに取って代わられることが予想されるため、法廷弁護士のような、パフォーマンスを要求される仕事だけが残ると考える法曹関係者もいます。