僕はギリシャのユーロ圏離脱は無いと考えています。

でもギリシャの銀行預金残高を見ると、このところどんどん銀行から現金が引き出されています。

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現在の総預金残高は1,394億ユーロで、去年9月から330億ユーロ減りました。

もし総預金残高が970億ユーロを割り込むと、担保不足となりギリシャの銀行が連鎖的に倒産するリスクがあります。

なぜギリシャの国民は怒涛の勢いで現金を引き出しているのでしょうか? 

それはギリシャとトロイカ(国際通貨基金、欧州連合、欧州中央銀行の三者のこと)の話し合いが不調に終わりギリシャ救済プログラムを延長できなかった場合、ギリシャはユーロ圏を離脱する可能性があるからです。

その場合、ギリシャで使用されているユーロ(€)は、ドラクマに戻ります。その際、ドラクマの価値はギリシャ経済の実力を反映して急落する恐れがあるわけです。

またユーロからドラクマへの切り替えに際しては事務作業のため預金を一旦、封鎖する必要が出ると思われます。

なにせユーロから離脱した国は未だ無いし、具体的にどういうやり方で旧通貨に戻すのか? という方法論に関しては、出たとこ勝負です。

また、これは予想したくない事だけれど、政府が債務返済に充てるため、実質的な預金税(capital levy)を課す可能性も除外することはできません。預金税とは、平たく言えば、ある日銀行預金の引き出しが突然できなくなって、翌日、通帳を見たら自分の貯金の一部が忽然と消えていた……という現象を指します。

(そんなバカな!)

と皆さんは思うかもしれないけど、預金税は古代ギリシャの時代から何度も試みられています。古代ギリシャでは1~4%の預金税がしばしば発表され、古代ギリシャ人は見栄っ張りで、自分の資産を実際より多く見せようとして喜んで預金税を払ったと言われます。

その他1714年には英国でアーチボルト・ハッチンソン議員が全ての私有財産に対して10%の財産税を課すことを提案しました。またナポレオン戦争の際はリカルドが財産税を提唱しました。1870年の普仏戦争の際はフランス公債の償還時に1%のディスカウントが検討されました。1890年代にドイツと英国の間で戦艦の建艦競争になったときには預金税が検討されています。

最近では2年ほど前にキプロスで預金封鎖があったことは皆さんの記憶に新しいと思います。

なお預金封鎖や新ドラクマへの切り替えは、電撃的に行わないと成功しません。実際のオペレーションは、たいへんな困難を伴います。

ギリシャの救済プログラム延長の話し合いは、この土日で早期の合意に達したいというのが関係者の意見です。でも話し合いが成立する可能性は低いです。すると次に問題になるのは6月5日に控えた国際通貨基金(IMF)に対する借金の返済です。これが最初の山場で、その後、相次ぐ支払期限の到来が予定されています。

P.S. 6月4日にインヴァスト証券主催Webセミナー「欧州経済の近況ならびにギリシャ救済プログラムの延長期限到来がユーロに与える影響」でこのへんの問題はみっちり解説したいと思います。