今日、原油価格が-7%以上急落しました。

これは先週末に発表されたベーカーヒューズ北米オイルリグ・カウントが増えていたこと、イランとの核軍縮交渉が進捗するといずれイランの石油が国際市場に出回る事などを嫌気しています。それに加えて今日、ウォール街で囁かれていたことは中国経済の鈍化が、コモディティ市場に与える悪影響です。

(このところの上海総合指数の急落は1990年の日本のバブル崩壊の時に酷似している。もしそうだとすれば、株式市場が天井を打った一年後に不動産市場も急落をはじめるだろうし、二年後にはGDPもゼロ成長になる……)というわけです。

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僕はそんな噂は信じたくないけれど、やれPKO(株価維持オペレーション)だの「空売りの犯人を突き止め、ブタ箱へぶち込む」だのという中国政府のトンチンカンな発表を目にする毎に、だんだん気持ちは虚ろになります。

そんな傷口にバンドエイドを貼るようなやり方では、今の株安は救えません。

中国が今、やらなければいけないことは何か?

それは割高になってしまった人民元の、大胆な切り下げです。

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なるほど、輸出主導型経済から内需主導型経済への体質改善は、理想かもしれません。でもそれはこれまでも成功してこなかったし、これからも成功しないでしょう。なぜなら中国は社会のセイフティネットが未だ未整備で、国民は何かの時のために高水準の貯蓄をすることが習慣となっているからです。

それを是正するのには10年から20年の歳月が必要です。今は、そんな悠長なコトを言っている場合ではありません。中国が最も得意とする、安い製品をどんどん輸出すること、この昔ながらの成功モデルを、アメリカに批判されようが、周辺国に迷惑をかけようが、なりふりかまわず貫き通す以外に窮地を脱することはムリだと思います。

日本は1990年頃、アメリカから「内需型にしなさい」と言われて、「はい、そうですか」とお人よしにもそれに従いました。経済がスランプに陥り、産業の空洞化が進行しはじめたにもかかわらずです。その二の轍を中国が踏むことを避けたいのなら、世界中からひんしゅくを買っても、昔ながらの成功モデルに頼る以外ないのです。(ちなみに、今のドイツはそうしています)

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中国政府のメンタリティーからすると、ここはインフラストラクチャ投資を増やして景気にテコ入れしたくなる局面だと思います。

でもオーバー・キャパシティの問題を、もっと投資を増やすことで解決することは出来ません

なぜなら今、中国が直面しているのは、98年のロシア危機やサブプライム問題に端を発した2008年のリーマンショックのような、ミンスキー・モーメント(Minsky moment)だからです。

ミンスキー・モーメントとは、借金を拡大することで得た成長は、投資先から得られるリターンの漸減を必ず招き、いずれおカネの出し手が「あなたにおカネを貸すリスクに、リターンが見合わない」と、これ以上、資金を出すことに難色を示すことを指します。

するとおカネを借りて投資していた主体は、損を出しながらその資産(不動産や株)を売却することを強いられるわけです。そのような売りは資産価格を押し下げ、それが一層の売りを呼ぶ……これがミンスキー・モーメントです。

なお、もし今、中国が経験していることがミンスキー・モーメントのはじまりなのであれば、日本だってうかうかしていられません。なぜなら中国は世界で二番目に大きい経済であり、日本の重要な貿易パートナーだからです。

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五番街のティファニーに怒涛のように日本人が押しかけて買い物していたのが93年頃までにはパッタリととまったように、いまの中国人による「爆買い」も数年後には懐かしい思い出になるかもしれません。