相場の上手い人は戦う局面を限定し、勝てる時だけ出動します。そして勝ち目が無いとわかれば、すぐに撤収します。

たとえばアフリカのサファリを想像してください。

ライオンは草むらに静かに身を隠し、獲物が「射程距離」に入るまで息をひそめています。自分の走力で、確実に相手を捕捉できると判断したときだけ、猛ダッシュで襲いかかるわけです。

このような効率性(efficiency)ないしは優美さ(elegance)を、投資に際しても常に意識すべきです。

コロコロ自分の考えやアプローチが変わっているうちは、勝率はUPしません。まず自分のルールを確立することが先決なのです。

ルールは自分で編み出すものであって、正解はひとつだけではないと思います。

僕が投資銀行でアメリカの機関投資家を相手に株式の営業をしていた当時、はじめて顧客を訪問するとき心掛けたのは、(この投資家はどういうルールに基づいて売買しているか?)ということを理解することでした。

相手が信奉しているルールに対する理解が無ければ、トンチンカンな銘柄を薦める失敗をしでかします。

バリュー投資家が好む銘柄ならびにその売買のタイミングは、グロース投資家が好む銘柄ならびにその売買タイミングとは、まるっきり違います。

それぞれのアプローチに適した「相場の料理のしかた」というものがあるのです。

僕の場合、グロース株もバリュー株もやっています。グローバル・マクロ的なトレードも好きです。でもそれぞれのアプローチは別個のものとして存在しているのであって、それらをチャンポンにするようなことは、しません。

一例としてグロース株の場合はThe trend is your friend.ということを何よりも重視します。直訳すれば「トレンドは、ともだち」という意味です。ここでのトレンドとは、上昇トレンドラインのことを指します。つまりあるグロース株が、上昇トレンドを維持しているときだけ持ち続けるわけです。

ひとたびその株が上昇トレンドラインを割り込めば、それはその銘柄が醜悪なブスに成り下がった瞬間であり、ベッドから蹴り出すべきタイミングです。差別用語のような、強い言葉を敢えて使う理由は、トレンドラインを割り込んだ銘柄を抱き続ける事の危険さを強調したいからです。

あるグロース株がトレンドラインを割り込んだとき、殆どのケースでは、その時点では一体、何が悪くて株価が壊れ始めているのかは表面化していません。言い直せば「理由も無いままに株価が下がる」わけです。

でもこの印象は、本当のことを言うと、正しくありません。

真実は、グロース株がトレンドラインを割り込むときは、その背後に何か不吉な材料が潜んでいることが殆どです。ただそれがニュースとして表面化していないので、投資コミュニティがそれを悪材料として認知していないだけであって、「理由が無いままに株価が下がっている」というのは、ボンヤリ投資家の間抜けな印象を語っているに過ぎないのです。

グロース株投資では、買った先から、すぐにそのポジションに利が乗り始めないといけません。もしその株を買って3日経っても利が乗り始めないようなら、あなたのやっていることは何か間違っています。その場合、撤収を視野に入れてください。「最初の損切りが、ベストの損切りだ」という格言が生きる瞬間というわけです。

グロース株投資は、相場の勢いの良さを買うアプローチなので、騰がらなくなってしまえば、最大の「買い理由」が喪失してしまったことを意味します。右肩下がりの下降トレンドに入ってしまったグロース株を持ち続けるほど危険なことはありません。

それからグロース株投資は刀の上を素足で歩くような真剣勝負です。間違いは、ぜったいに許されないのです。なぜならグロース株の殆どは株価収益率(PER)で100倍とかの、べらぼうなバリュエーションなので、おかしくなりはじめたら、「このくらい下がればバリュエーション的にもう安心だろう」という下支えポイントは存在しないに等しいからです。

だから業績はパーフェクトでなくてはいけません。それはつまり四半期決算で、一株当たり利益(EPS)、売上高、ガイダンスの全てでコンセンサス予想を上回るということが絶対に必要なのです。すこしでも推力に陰りが見えれば、モメンタム投資家は一斉に降りようとします。一般にPERが高い株ほど決算のとりこぼしの際の売られ方は酷いです。

どれだけ素直にわだかまりを捨てて逃げられるか?

これがダメージを最少に喰いとどめる秘訣です。

まとめると:

1. グロース株投資ではトレンドラインを割り込んだら躊躇せず売る事
2. グロース株投資では四半期決算をとりこぼした株は損していてもサヨナラすること