今週水曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、いよいよ米国の政策金利、フェデラルファンズ・レートが引き上げられるかが注目されます。

その直前に世界の株式市場が暴落するというようなことが無い限り、利上げはあると思います。

普通、アメリカが政策金利を引き上げている時は新興国株式は冴えません。だからMarket Hackでも新興国は敬遠するべしとずっと主張してきました。

ただ新興国の市場がボトムを打つのは近いと考えています。

その理由は1990年代のアジア通貨危機のときとは違って、現在、殆どの新興国は通貨をドルにペッグしていないからです。

実際、2015年には新興国通貨が軒並み急落しました。

つまり「もう大惨事は起きてしまった後だ」ということです。

通貨安は、その国の輸出競争力をUPします。だから今後新興国の輸出セクターが出直ってくると考えるのが自然です。

下は国際通貨基金(IMF)による、新興国全体のGDPの予想です。2015年の夏が成長のボトムで、今後はじりじり加速すると予想されています。

1

新興国の製造業の活動は下のグラフに見られるように極端に低迷していました。

2

しかし今後、それも通貨安の恩恵で出直ってくると予想されます。

ただひとくちに新興国の輸出と言っても、製品を売っている国と、素材を売っている国があります。チリ、ペルー、ブラジルなどの国々は、どちらかといえば素材が主です。

素材を売っている国にとってはコモディティ価格が重要になってきます。そのコモディティ価格は、下のグラフのように総じて軟調です。

3

この理由は、これまでコモディティを大量に消費してきた中国経済に陰りが見えていることが原因です。



実際、2002年から2014年にかけて、中国の素材消費の成長は、世界の他の地域を圧倒していました。

5

つまり素材バブルは中国の建設バブルのみが原因だったのです。

実際、世界の金属輸入に占める中国のシェアは、年々上昇しました。

6

この結果、現在中国は世界の鉄鉱石の60%、銅の50%、アルミニュームの48%、ニッケルの45%を消費しています。

4新興国とコモディティ

いま中国政府は行き過ぎた固定資産投資を抑制していますので、経済全体に占める金属の輸入額は、だんだん下がっています。

8新興国とコモディティ

コモディティ不況になっているのは、そういう理由からです。

このため世界の大手鉱業各社も投資を絞り込む必要があります。

9

生産調整は、まだまだ端緒についたばかりです。その意味ではこのセクターのアク抜けには時間がかかると思います。

それを断った上で、中国経済がハードランディングではなく、ソフトランディングするというシナリオに立脚するのであれば、住宅建設はまだまだ必要だし、コモディティの需要がゼロになるということは無い気がします。

2016年はドル安を想定しているので、ドル安局面では新興国経済は少し楽になります。つまり製品を輸出している新興国だけではなく、素材の輸出に依存している新興国ですら、2016年はフラフラとリバウンドする可能性が高いのです。