2013年にIPOされたオフソテック(ティッカーシンボル:OPHT)が新値を更新しています。

同社は、加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)という目の病気の治療薬、フォビスタを開発中です。

フォビスタは現在、フェイズ2、ならびにフェイズ3臨床試験中で、早ければ2016年にも米国食品医薬品局(FDA)から承認が得られる見込みです。

加齢黄斑変性(AMD)は米国だけで百万人以上もの患者がおり、毎年、20万人が新しく加齢黄斑変性だと診断されます。病状が進行すると視力が低下し、いわゆる社会的失明になります。

加齢黄斑変性にはウエット(滲出型)とドライ(委縮型)があります。日本人が罹りやすいのはウェット型です。これは網膜表に余分な毛細血管が出来てしまって、それが出血することで視力が曇ってしまうわけです。

現在市場に出回っている抗血管新生薬治療の三つの薬、すなわちノバルティスのルセンティス(Lucentis)、リジェネロンのアイレア(Eylea)、ロッシュ/ ジェネンテックのアバスチン(Avastin)は血管内皮増殖因子(VGEF)に基づく薬であり、大同小異の薬効と安全性を持っています。

ただ治療が長期メンテナンス局面に入った後も視力はゆっくりと失われてゆき、結局は社会的失明につながるケースが多いです。

しかも、毎月、血管内皮増殖因子(VGEF)を投与しないといけないため、継続治療は患者や医者にとって負担になります。

上記の3つの抗血管新生薬治療は、「第一世代」と呼ばれており、確かに余分な血管がニョキニョキ出ることは抑えることが出来ます。でも視力を改善することは難しいのです。

これに対し、オフソテックのフォビスタは効き方が全然違います。こちらは血小板由来成長因子(PDGF)と呼ばれるたんぱく質を抑制します。いわば毛細血管を取り巻き、その毛細血管を守っている周皮細胞(pericyte)を無力化する薬です。

周皮細胞による保護を失った余分な毛細血管は、だんだん小さくなり、その結果、網膜の規定部分の腫れが引いてゆくわけです。

来年は大統領選挙で薬価の問題は争点化することが必至ですし、例の「バイオ坊や」がタイホされたことでバイオ・セクターの未来は暗いと思います。だから2016年はバイオ・セクターをアンダーウエイトすべきだと思いますが、その中にあってオフソテックだけは継続保有したい銘柄です。

opht