イランの経済制裁が解除されました。そこで今日は今後の展開について書きます。

まずイランは外交交渉の結果、核開発を制限することに合意しました。これを受けて国際原子力機関(IAEA)はイランが約束通り核開発を制限しているか調査しました。その結果はOKでした。

欧州各国はイランへの経済制裁をすみやかに解除しました。米国は国内法の関係で、イランへの経済解除が1年ほど遅れる見通しです。(これは既に知られていることであり、サプライズの要素はありません)

核開発の制限と、その合意の履行に関しては、合意の解釈を巡って、アメリカとイラン双方の腹の探り合いが進行中です。

たとえば1月にイランがミサイル発射テストをしたのは、そのような「小手調べ」の意味合いがあります。つまりイランは「ミサイル開発は今回の核開発制限の合意に含まれていない」という見解を持っています。そこで実際にミサイルを発射してみて、アメリカ側の出方を見たわけです。

アメリカ側は、当然、これを不服としています。大筋として核開発制限合意後の経済制裁解除に米国が賛同しているにもかかわらず、アメリカが別枠での新しい経済制裁をこのミサイル発射テスト後に発表したのは、イランに対するメッセージと受け取れます。

イランはこれから選挙があり、得票のためには対米強硬姿勢を打ち出した方が有権者の歓心を買いやすいという要因があります。Market Hackの読者は(イランは経済制裁解除を必要としているのに、なぜ自分からぶちこわしになるようなことをするのだ!)と思うかも知れませんが、理由はそういうことです。

ここで重要なことは、ミサイル発射テストはあくまでも核開発制限の基本合意とは別の、小さな駆け引きであり、大筋としては経済制裁解除の方向で世界は動き始めているということです。

アメリカはイランの国外に預けられていた1千億ドルの資産を凍結しています。この封鎖が解かれるわけですが、アメリカの識者の中には「テロリストへの経済援助が再び増える」と主張する人もいます。

ただ実際にはイランが解禁された原油の輸出を実現するためには、老朽化した石油生産・輸出施設を整備し直す必要があり、それには莫大な先行投資が必要です。だからテロリストに回せるお金は、すぐには増えないと考えた方が自然でしょう。

なおアメリカの国内法の関係で、経済制裁解除後も米国企業は直でイランとすぐに商売を始めることが出来ません。そのことはイランの石油業界の再建の仕事の大半は、米国企業以外が受注することを意味します。

米国企業は欧州などにある現地法人を通じて間接的にこの商機に参戦するというカタチを取ると見られます。

米議会が可決、立法化した対イラン経済制裁条項は2016年末に期限満了(サンセット条項)により終わることになっていますが、米議会はこれを延長する動議を出すと思われます。

そのことは米国企業がイランと商売できるようになるのは、さらに先の話になるということです。