運用から遠ざかっていたジョージ・ソロスが、投資の第一線に戻ってきています。彼のような人は、チャンスが目の前にぶら下がっていると、やっぱりマーケットから足を洗う事ができず、ついつい相場に熱中してしまうのでしょうね。

ソロスはSPDRゴールドシェアETF(ティッカーシンボル:GLD)、バリック・ゴールド(ティッカーシンボル:ABX)、シルバー・ウィートン(ティッカーシンボル:SLW)の3銘柄を特に買っているそうです。

このうち最初の二つはMarket Hackの読者ならお馴染みの銘柄だけど、最後のシルバー・ウィートンについては、余り知られてないと思います。

シルバー・ウィートンは銀の会社ですが、自分で銀を掘っているわけではありません。強いて言えば、銀の商社です。

世界には、銀を掘っている会社は沢山あります。ただ、銀を掘る事を専門としているのはヘクラ・マイニング(ティッカーシンボル:HL)をはじめとした、ごく一握りの企業だけであり、大部分の鉱山会社は、他の金属を掘り出す際、副産物として銀も採れてしまうのです。

それらの企業にとって銀生産は本業ではありません。それらの企業の株式市場での評価は、かれらが本業とするゴールドなどの生産高によって決まるわけであって、いわば銀は「盲腸」みたいな存在なのです。

だから「ついでに採れてしまった」銀をサッサと買い取って、自分に代わってマーケティングしてくれる商社の存在を、ありがたいと感じるわけです。

シルバー・ウィートンは、そのような買い取り契約を、ヴァーレ、グレンコア、ランティン・マイニング、ゴールドコープ、バリック・ゴールド、ゴールドフィールズ、エルドラドなどと結んでいます。

そこでは、まずシルバー・ウィートンが「前金」をそれらの会社に払い、将来の生産を買い取ります。その代り、実際に生産した銀は、銀価格がどんなに高騰していても、タダでシルバー・ウィートンに渡さないといけないのです。

このような契約を、シルバー・ストリーミングと言います。

鉱山会社にとって、前金でキャッシュを受け取れれば、それを生産活動の運転資金に充当できるし、もともと銀の含み価値は株式市場では(それは、取るに足らない)として無視されるので、それならキャッシュを先に受けとり、負債を返済し、金利負担を軽減した方が得です。

一方、シルバー・ウィートンは、このように純粋に銀価格の動きに業績が連動するようにデザインされているし、各鉱山会社の銀生産高を束ねて、大きな規模にしているので、「銀の値動きだけに投資したい」という投資家のニーズには、最も上手く応えることが出来るのです。

2016年は、シルバー・ストリーミング契約により、5,400万オンスの銀を生産する予定です。

シルバー・ウィートンは自社では鉱山の運営をしていないため、契約先企業が操業面で何かの問題に直面すると(たとえばストライキ)、自分の努力で問題を是正することが出来ません。この「あなた任せ」なビジネス・モデルが投資リスクです。

またシルバー・ウィートンは「前金」で鉱山会社にキャッシュを渡す関係で、ロー・コストで資金調達できる能力を持っていなければいけません。銀行や資本市場から信頼されず、資金調達コスト高になると、鉱山会社に「前金」をはずむことが出来なくなります。これもリスクです。

slw

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