金価格がこれまで上値抵抗線になっていた1300ドルを超えました。

Gold

この次は1350ドル付近にマイナーなレジスタンスがありますが、長期ダウントレンド・ラインのある1400ドルが目標になると思います。

ゴールドが動いている理由は、ドル安が原因です。

ゴールドや原油などのコモディティはドル建てで取引されており、その関係でドル安になると価格が上昇しやすいです。

昨日、米国の連邦公開市場委員会が終了し、声明文が発表されました。政策金利は現行の0.50%のまま動かなかったけれど、いわゆる「ドットプロット」はまた少し下がり、ハト派な内容でした。

それに加えて日銀が一段と踏み込んだ緩和政策を今回は見送ったことで、ドル/円はこれまでの下値支持線を割り込み、次の目標である102円に向けて急落しています。

ゴールド急騰を巡る足下の説明は、大体、そんなところになるでしょうけれど、一歩下がって世界全体で起きていることを巨視的に眺めれば、ニュー・ノーマルと呼ばれる世界的な低成長の環境下で各国中央銀行は緩和的な金利政策を継続しています。その政策は、もちろん景気を支援し、国民生活を助けることを意図して繰り出されているわけだけれど……結果として格差は拡大しています。

あまりにも格差社会が行き過ぎたため、最近、世界的にポピュリズムが台頭しています。

アメリカの場合、ドナルド・トランプというデマゴーグ(扇動家)が共和党の指名候補になることが確実となっています。これはいままでないがしろにされ続けてきた白人低所得者層の反撃だと言えます。

また英国では6月23日にEU離脱を巡る国民投票が実施されます。

離脱シナリオでは英国経済は混乱し、結果として損するのは庶民だということは最低限の経済リテラシーを持っている人なら誰にでもわかることなのですが、移民に職を奪われていると考える英国の低所得者層の排他主義や「エスタブリッシュメントにイッパツ喰らわす」というリベンジ心理が、離脱という、自分で自分を痛めつける方向へ英国の有権者を向かわせているわけです。

マーク・ファーバーは、最新の『ファーバー・レポート』の中で「自由経済社会が富の配分に失敗し、同時に富の創造に行き詰れば、万人に万遍なく安定を約束する人たちに、独裁への道が開かれるだろう。こうした人たちによる政府は、好戦的で、美辞麗句を並べてて、民主主義世界を圧倒してゆくことになる」というウイリアム・ダラントの言葉を引用し、このような世界経済の現状を説明しています。

究極的に彼が推奨しているのは、金鉱株、金鉱株ETF、石油・天然ガスの探索・生産会社、ならびに石油サービス会社、そして鉱山株です。(ただし具体的な銘柄名はネタバレになるのでここに書くことは遠慮します)

『ファーバー・レポート』へのリンク

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