下は俗に「象チャート」と呼ばれるグラフです。



横軸は全世界の人々の所得をパーセンタイル値で順位付けしたものであり、左端のほうが貧しいです。地球が100人の村人で構成されていたとして、2パーセンタイルなら2番目に貧しいことを意味し、100パーセンタイルなら一番裕福であることを示します。

そしてそれぞれの所得水準に属するグループが、1988年から2008年までの間にどれだけ実質所得の増加を見たか? を縦軸にとってあります。

2

上のグラフの「A」地点は、所得で中位の人々を指し、具体的には中国とインドの人たちが多いです。2008年までの過去20年間で所得の伸びが最も高いグループであることがわかります。2011年の段階で中国の都会に住む人たちのパーセンタイル値は70位でした。

このグラフはブランコ・ミラノヴィックという経済学者が作成したものです。関連する記事のリンクを下に掲げておきます。

The greatest reshuffle of individual incomes since the Industrial Revolution

さて、上のグラフの話を続けると、大部分の先進国は「B」の付近に属します。日本もこの辺りに位置します。

するとこのグループの実質所得の伸び率はミーン値(赤の破線)を下回っているわけです。

更に目をひくのは「C」の超裕福層だけは所得が「ギューン!」と上昇しているということです。これが最近、良く言われる「上位1%問題」だと言い換えても良いでしょう。

ミラノヴィックによるとこの「C」のグループに属する人たちは税引き前年間世帯収入で3千万円程度稼いでいる人たちだそうです。

米国の著名ベンチャー・キャピタリスト、フレッド・ウィルソンはこのグラフを見て次のようなオブザベーションを述べています。

過去25年間に先進国から新興国へ製造業の拠点がシフトしたので、「グローバル・ミドルクラス」と呼べる中間層が出現した。しかしグローバライゼーションはここでストップしない。次の25年間で、「グローバル・ミドルクラス」の実質所得の伸長も、やっぱり鈍化しはじめるだろう。この問題に悩まされることが無いのは、ごく一握りの資本家だけであり、労働者ではない。これは今後いろいろな社会問題を生むと思う。


日頃からの読者はもうご存知だと思いますが、Market Hackのスタンスは、次のようなものです。

1.所得格差の問題は日本やアメリカだけではなく、グローバルな問題だ。だから政治を嘆いても、しょうがないし、カンタンに解決しないと諦めた方が良い
2.歴史を紐解けば、格差の是正は大きな戦争の勃発がきっかけで起きてきた
3.個人として早く不労所得で暮らせる立場を目指す方が合理的
4.有事でも財産を失わないために普段から世界情勢に注意を払いたい



広瀬隆雄のツイッター: @hirosetakao