ポンドが欧州時間になって、またじりじり下がっています。

けさ、日本時間の朝に、ポンドが一瞬、-6%近くも下げました。「これはフラッシュ・クラッシュみたいなもんだよ」ということで、一旦は戻しました。

でもまたここへきて前日比-3%下げており、ちょっと尋常ではない展開に。

その原因なのですが、フラッシュ・クラッシュなどの、市場メカニズムに起因する問題をいま横に置いて、ファンダメンタルズ面から説明すると、大体、次のようなことになると思うのです。

まず先日、英国のテリーザ・メイ首相が「来年の4月から、いよいよEU脱退の手続きを開始する」と発表しました。そして先日のスピーチの中で、英国がEUを脱退するにあたり、英国が何としてでも確保すべき条件について優先順位が明らかになりました。

そのリストのトップにあるのは、移民のコントロールです。

ロンドンの金融街、シティの連中を驚かせたのは、いわゆる「パスポーティング」つまり金融サービスの「輸出」に際し、ロンドンと大陸がルールを共有するということが、ずっと後回しにされていたことです。

「パスポーティング」はシティに世界の金融機関をつなぎとめておくために重要な条件であり、それが顧みられないのであればロンドンからフランクフルトやダブリンへ転出するのも止むを得ない……そういう嘆息が漏れ始めているわけです。

ロンドンはニューヨークに伍する、世界の金融センターです。しかしその強味を丹念に調べてみると、いわゆるFICC(債券為替コモディティ)に圧倒的な強味があることがわかります。

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このビジネスは、いま、荒々しいアゲンストの風に晒されています。

その一因は、ドッド・フランク法により銀行がレバレッジを使いにくくなったことにあります。加えて債券や為替にもHFT(高速トレーディング)の波が押し寄せ、それが投資銀行のマージンを圧迫している点も指摘できます。(ドイツ銀行の経営不安の問題も、もとを正せば、このようなFICCをめぐる厳しい経営環境が投資家の動揺の根底にあります)

言い直せば、ただでさえクウォンツ君はお荷物化しているのに、さらにメイ首相は金融機関に対してつれない態度を示しているというわけです。

「移民は英国に来ないで。でもパスポーティングは認めて欲しい……」

そんな虫のいい主張が、すんなり通るわけありません。