ドナルド・トランプが政権移行の準備の進捗に関する動画をUPしました。



その中でトランプは「最初の100日」に実行に移そうと計画している、さまざまなアジェンダについて言及しています。

1.「アメリカを最優先する」
2.鉄鋼生産、自動車生産、創薬で国内を最優先
3.TPPに参加しない
4.シェールと石炭の奨励
5.新しい規制をひとつ作ったら、2つの既存の規制を廃止する
6.米国のインフラをサイバー攻撃から守る
7.ビザの悪用を調査する
8.過去の政権関係者がロビイストになることを5年間禁ずる


などです。大統領就任式のある1月20日には、これらに関する大統領令が、びしびし発令されることになるでしょう。

(ところで、株式市場の参加者が期待している「トラちゃん減税」は、一体、どこへ消えたのでしょう?)

大統領令(EO: Executive Order)とは、行政府の長として大統領が省庁に対して発する命令をさします。連邦政府のお役人さんたちは、これに従う必要があるわけです。

大統領令は、議会、つまり立法府の正式な手続きを経て成立した法律ではありません。でもしばしば同じくらいの拘束力を持ちます。

これまでに1万3千近い大統領令が発令されてきました。

(なぜ大統領は、そんな勝手ができるの?)

その根拠は合衆国憲法第二条第一章「執政権(Executive Power)」にあります。

大統領令は初代大統領、ジョージ・ワシントン以降、しばしば発動されてきました。しかし当初は大統領令の存在はおおやけにされない場合が多かったし、きちんと記録されることすら、されていませんでした。

1900年代になってから、これではいけないということで、国務省が大統領令に通し番号を振り、ちゃんと記録し始めました。過去に発動した大統領令に関しては1862年のリンカーン大統領による奴隷解放宣言まで遡り、それを第一号としました。

大統領令は、大統領の一存で勝手に発動できてしまうので、しばしば既存の法律に抵触、矛盾します。議会が新しく発動された大統領令に反対する場合、1)その大統領令と直接ぶつかりあう現在の法律を改正すること、2)あるいは省庁が大統領令を実行に移す場合、その厳密な解釈を示す、という二つの方法で折り合いをつけます。

大統領が議会のこれらの措置に不服な場合、拒否権を発動できます。その場合、議会が大統領の拒否権をくつがえすには、3分の2の決議が必要です。

歴史的に議会は外交、国防、条約などに関する大統領令に対しては沈黙を守るケースが多かったです。なぜなら、合衆国憲法はそれらの案件については大統領に大きな権限を付与しているからです。

なお最高裁判所は大統領令に対し、違憲判決を下すことが出来ます。

トランプ「最初の100日」で、大統領令を出しまくり、それが原因で貿易戦争の兆しが出ると、投資家のマインドがちょっと挫かれるリスクがありますね。