スキャンダルに揺れるウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)で、今度は生命保険の販売を巡る詐欺が発覚しました。

土曜日のニューヨーク・タイムズが第1面で報じたところによると、ウエルズファーゴは生命保険会社、プルデンシャル(ティッカーシンボル:PRU)の生命保険商品をウエルズファーゴの顧客に販売する、クロス・セリング(相互乗り入れ販売)パートナーシップを結んでいました。

つまりプルデンシャルの保険を売れば、ウエルズファーゴの銀行員の成績になるわけです。

しかしウエルズファーゴの行員が顧客に無断で200万口座もの架空口座を開設していた事件と同様の手口で、ウエルズファーゴの顧客が知らないうちに生命保険に入らされていたことが今回発覚したのです。

このスキャンダルはプルデンシャル保険に勤めていた3人の元社員が、不正を内部告発したら、逆に会社からクビにされ、それを不当解雇としてプルデンシャルを相手取って訴訟に踏み切ったことで明るみに出ました。

それによるとプルデンシャルはウエルズファーゴのカリフォルニアやテキサスの支店から沢山の保険の成約があったけれど、騙された顧客の大半は英語が不得意なメキシコ移民であり、言葉が不自由なことに付け込まれて、頼んでもいない保険に無理矢理加入させられたようです。

自分の普通預金口座から生命保険料が引き落とされているのを見た預金者は、慌てて説明を求め、それは結局、保険の解約につながるわけですが、そうなるまでの2か月間くらいの間は、ウエルズファーゴの銀行員が自分の営業成績を粉飾できるというわけです。こうして強引に加入された保険の7割は数カ月以内に解約になったそうです。

プルデンシャルの社員がこの不正に気付き、それを上司に報告したら、クビになったということで、ウエルズファーゴだけでなく、プルデンシャルにもブラック企業的な悪弊が蔓延していたことを感じさせます

なお、保険の販売には外務員試験のような資格が必要です。またマーケティングは州ごとに厳格な遵守規定があります。ウエルズファーゴの行員は、ウェブサイトからの簡便な保険購入申し込みの仕組みを悪用するなどして、その目をかいくぐった可能性があります。

このように今回の保険販売詐欺は二重にルールを破るものであり、ウエルズファーゴのクロス・セリングは当局から徹底的にマークされると思います。


【ウエルズファーゴに関する過去記事】いかにも性格悪そうな銀行のネエチャンをとっぷり眺めながら、ビットコインの将来について考えてみた