ウォールストリート・ジャーナルによるとドナルド・トランプが下院共和党の策定した国境税調整(=実質的に20%の関税)に対し「その言葉を聞くたびに嫌悪感が出る」とdisったそうです。

トランプによれば下院共和党の国境税調整は「複雑すぎ!」だそうです。

それではトランプ案はどうなっているか? といえば、法人税は一律15%とし、国境税調整はナシ。その代り海外に工場を建て、そこで生産した製品をアメリカに持ち込もうとする企業には35%の関税をかけるとしています。

WTOのルールでは、特定の企業をターゲットにした関税というのは認められていません。だからトランプ案を実現しようと思えば、アメリカはWTOを脱退することになります。

まあ「NAFTAをやめる」、「NATOも時代遅れだ」と過激なことばかり言っているトラ様のことなので、WTOをガン無視するのは驚くに値しないとも言えますが(笑)

またトラ様の場合、「中国製品には45%の関税をかける」とも言っているわけで、それなら下院共和党の国境税調整よりもっと極端です。

これは余り知られてないことですが、「中国製品に45%の関税をかける!」ということは、なにも議会を経由して立法化しなくても、トラ様の一声、つまり大統領令で出来てしまいます。

だから議会がヌルい審議をしていたら、トラ様がそれをスッ飛ばして、いきなり暴挙に出るというシナリオもゼロとは言えないのです。その根拠になっているのは1974年通商法(The Trade Act of 1974)です。

そこではまずアメリカ合衆国通商代表部(USTR)が他国の貿易のやり方を不公正だと認定します。

USTRは大統領府の中に設けてあるため、実際には大統領の思うとおりに動くと思われます。ちなみにドナルド・トランプはUSTR代表に対中強硬派のロバート・ライトハイザーを据えています。

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