VALUの利用者の中から早くも「VALUって、増資させてくれるの?」という声が上がっています。

僕の考えでは増資は許可すべきではないし、究極的に損するのは上場者本人だと思います。

これを説明するにはエルドラド(黄金郷)伝説の例がわかりやすいでしょう。

今から500年前、インカ帝国(現在のペルー)には通貨がありませんでした。

しかし金や銀はインカ帝国で産出していました。

インカの人々は、金を「太陽の汗」だと思い、銀を「月の涙」だと思ったのです。しかし、それらが「通貨である」とは、誰も認識していませんでした。

インカ帝国の人たちにとり、通貨とは、肉体労働を意味しました。つまり全ての価値は、「何時間の肉体労働に相当するか?」という尺度で測られていたのです。

さて、1532年にスペイン人、フランシスコ・ピザロが北ペルーへやってきました。つまりコンキスタドール(征服者)です。

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(出典:ウィキペディア)

彼らはエルドラド(黄金郷)伝説が本当かどうか探検しにきたのです。そして現地人を次々に殺戮したあと、ついに今日のボリビアの「富める丘」で銀を発見しました。

それ以来、アンデス山脈の奥深くにあるこの銀山から250年間に20億オンスの銀が採掘されました。

銀や金は、価値貯蔵手段(Store of value)、勘定単位(Unit of accounts)、持ち運びできる権力(Portable power)という通貨が具備すべき全ての条件を備えていました。つまりそれ自体に瑕疵は無かったのです。

これほど沢山の純正な銀が産出されたにもかかわらず、なぜスペインは裕福にならず、国際的に見た場合、どんどん地位低下を招いたのでしょうか?

それはコインがどんどん鋳造されたことにより、コインの供給過剰をもたらし、銀貨の価値が暴落したからです。

もちろん、スペインが銀を確保するため競争、戦争を繰り返し、その費用が国庫を圧迫したことも無視できません。

純正なコインがどんどん出回り始めると、不思議な事に食料品、衣料品などの品々が、値上がりし始めました。

だからスペイン人が銀貨を持てば持つほど、それらの品々を手に入れることが困難になったのです。

ここで皆さんに理解して欲しいことは、食料品、衣料品の高騰は、それらのモノ(goods)の価値が上がったのではないということです。

そうではなくて、銀貨の価値、もっといえば購買力が暴落したので、同じモノを買うのに、いままでよりもっとたくさんのコインが必要になったということです。

スペイン人たちは、インフレという現象に直面したのです。

コンキスタドールたちはマネーが「信用(trust)」であることを見抜けませんでした。

だから銀貨がどんなに純正でも、むやみに供給が増えることで人々がそれを信用しなくなれば価値は下がってしまうことを理解できなかったのです。

トライオートETF

これとおなじことはVALUにも言えます。

いまVALUを出して億万長者になったと舞い上がっている御仁たちは「はやく増資させてくれ!」と欲のツッパったことをほざいています。

金融リテラシーがゼロだな、おまえらは(笑)

自分のVALUが無限に出せるようになれば、VAの買い手は(ちょっとまて、こんなにじゃぶじゃぶ新しいベースボール・カードが刷られれば、レア・カードとしての価値など、まるっきり無いな)ということに早晩気がつくのです。

切手の蒐集でも何でもそうですけど、なにかの事情で手に入りにくいからこそ希少価値が生まれるわけで、「増資がOK!」と宣言されたら、アホらしくて皆、VALUへの投資など止めると思います。

冷静になれよ! www



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